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薬を粉砕して服用すると思わぬトラブルが生じる危険がある【クスリ社会を正しく暮らす】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月20日 9時26分

薬を粉砕して服用すると思わぬトラブルが生じる危険がある【クスリ社会を正しく暮らす】

写真はイメージ

【クスリ社会を正しく暮らす】

 われわれ病院勤務の薬剤師は、患者さんが入院されるときには必ず薬のチェックを行っています。その際、粉砕してはいけない薬を粉砕されているケースを見かけることがあります。

 内服薬は、体の中で溶解して成分が吸収されるのですが、薬の成分がゆっくりと溶け出し、効果が長く続くように設計された徐放錠・徐放カプセルなどがあります。このような薬を砕いてしまうと、薬が急速に吸収されてしまうと予想されます。

 たとえば、抗てんかん薬であるバルプロ酸ナトリウム徐放錠の場合、砕くことによって成分が急速に吸収され、眠気などの副作用が急激に現れる恐れがあるのです。また、本来持続的に効くはずだった薬の効果が切れてしまい、てんかん発作を起こしてしまった事例も耳にしたことがあります。

 高血圧治療薬であるニフェジピンも徐放錠が多く用いられていますが、粉砕してしまうと急激な効果発現によって低血圧を起こし、意識消失することも考えられます。

 高齢者施設などでも、患者さんが飲みにくいといった理由で薬を砕いているケースを見かけることがあるのですが、粉砕する前に必ず薬剤師に確認するべきです。薬剤師は、必要に応じて徐放性細粒への変更や同等の効果のある粉砕可能な薬への変更を提案することもできます。

 医薬品の粉砕は、ほかにもさまざまな問題が考えられます。たとえば、抗がん剤など催奇形性のある医薬品を粉砕した場合、介護者が粉末を吸入したり、接触したりすることによる健康被害が考えられます。

 また、粉砕した医薬品は、いろいろなものに付着してしまうため、投与量のロスが生じるなどのデメリットもあるでしょう。

 昨今、これらの問題に対して「簡易懸濁法」という方法で解決されているケースも多く見られるようになってきました。錠剤やカプセルを粉砕せずにお湯に入れ、崩壊・懸濁を待って投与する方法です。次回は家庭でも実践可能な「簡易懸濁法」について紹介します。

(荒川隆之/薬剤師)

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