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兵庫県知事選の結果は長年の自民党の愚民政策で自分の頭で考えないバカな若者が増えたからだ【ラサール石井 東憤西笑】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月21日 9時26分

兵庫県知事選の結果は長年の自民党の愚民政策で自分の頭で考えないバカな若者が増えたからだ【ラサール石井 東憤西笑】

再選を果たした斎藤元彦兵庫県知事(C)日刊ゲンダイ

【ラサール石井 東憤西笑】#231

 社会の底が抜けた。まさに兵庫県知事選はそんな出来事だった。

 N党、カルト、ネトウヨなどが入り乱れ、まるで兵庫の地に魔方陣が敷かれ、まがまがしいものたちが一気に噴き出したような騒ぎとなった。

 だがそう表現すれば、斎藤氏に投票した県民は反論するだろう。彼らの多くはまさに善意の普通の人だった。「斎藤さんは悪くない」「パワハラは捏造」そう信じて皆投票した。投票率は上がり、市民の力で正義を勝ち取ったと信じている。

 お婆ちゃんがインタビューに「YouTubeで見ました。斎藤さんは悪くない」と答える。SNSを見た若者の7割は斎藤支持者だという。

 これを「ソーシャルメディアとオールドマスメディアの闘い」と分析する向きがあるが、果たしてそうだろうか。

 斎藤支持者は、「マスメディアが嘘をついている」と信じている。しかしテレビや新聞の報道とSNSを比較検討したわけではない。はなからテレビなど見てはいない。だいたい彼らは対抗馬が誰かも知らない。百条委員会も見ていない。ただただ純粋に見聞きしたSNS上のフェイクニュース、斎藤神話を信じている。

 そもそも立花孝志氏が「斎藤氏を応援するために出た。私に票は入れないで」と立候補したのが始まりで、彼はまず内部告発して後に自死した職員が不倫や性加害をしていたと吹聴、その事実を言わなかった斎藤氏が彼をかばったというイメージをつくり上げた。斎藤氏ははめられたのだと主張すると、YouTuberたちがそれを切り取り、編集した動画が量産された。

 立花氏は動画で「バカな人の1票をいかに利用するか、犬や猫と同じ」と豪語しており、まさにそれが実践されたのだ。

 しかも百条委員会の委員の自宅前で演説し、チャイムを鳴らして「出てこい」と叫び「これ以上やって自死されたら困る」とうそぶいた。

 そのうえこれから県会議員86人を1人ずつ攻撃していくという。何のためか。金のためだろう。今すぐ彼を野放しにしない法律を作らなければ、こんな汚い選挙ビジネスがどんどんはびこることになる。

 何故たった1カ月で若者がこれほど熱狂したのか。

 はっきり言うが「バカ」だからだ。自民党が何十年も続けてきた愚民政策で何にも知らない何も自分で考えない人間が、SNSでアルゴリズムで供給される情報を自分の力で探したと思い込み、空っぽの頭に流し込まれてかりそめの「正義」に酔い、一気に行動した。

 まるで昭和の戦争前夜のようだ。私はこのやり方を誰かが、シミュレーションしているように思えて仕方がない。

 来たる憲法改正の国民投票など、このやり方ならあっという間に成立してしまうだろう。

(ラサール石井/タレント)

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