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《新垣渚の巻》資質だけならナンバーワンも「うちなー時間」が玉にキズ【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月21日 9時26分

《新垣渚の巻》資質だけならナンバーワンも「うちなー時間」が玉にキズ【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

新垣渚(C)日刊ゲンダイ

【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#30

 新垣渚

  ◇  ◇  ◇

 2000年代のホークスは、好投手揃いでした。斉藤和巳という大エースがおり、杉内俊哉、和田毅の左腕二枚看板もいる。しかし、僕が「素質は彼ら以上」と思っていたのが、新垣渚(44)です。

 MAX155キロの直球に加えて、決め球のスライダーの曲がりも「えぐい」のひと言。ただ、子どもの頃に足を負傷した影響なのか、下半身が細く、繰り返す故障に苦しみました。ホークスでの晩年は、足首をテーピングでガチガチに固めないと投げられなかったほどです。

 さらに、シュートを覚えたことで暴投も増えた。渚にすれば投球の幅を広げるためでしたが、決め球のスライダーとシュートは回転方向が逆。シュートを覚えたことにより、指先の感覚に狂いが生じたのか、肝心のスライダーが抜けるようになってしまいました。

 当時の藤田学二軍コーチは、「とにかく抜けるスライダーをなくそう。引っかけるのはいい。むしろ引っかけ癖をつくろう」と親身に指導をしていましたが、それだけシュートはもろ刃の剣でもある。才能はピカイチ、もっと結果を残せたはずの選手だったと思わざるを得ません。

 性格はおおらかで明るく、優しい。沖縄生まれ沖縄育ちで、若干の「うちなー時間」が玉に瑕。つまり、時間にルーズだったりと、緩い面もありました。渚が二軍でプレーしていたある日、なぜか練習が始まる時間になってもグラウンドにいない。心配して電話をしたところ、「すいません、熱があるんで」と言う。「トレーナーには報告したのか?」と聞く僕に、渚はこう言いました。

「田尻さん、起きたくても起きられない時もあるんですよ!」

 間髪入れず、「いや、それはちゃうやろ」とツッコミました(笑)。

 ちなみに渚は中学時代、進学先を沖縄水産か興南かで迷っていたそうです。結局、「野球をやりたいから」と沖縄水産を選んだとか。「じゃあ、興南だったら?」と聞くと、「ボクシング部に入ってましたよ」と。ちょうどその時、渚の沖縄水産の同級生の稲嶺誉(現スカウト)がおり、「ああ、そうだろうね」と、納得していました。当時は割と“ヤンチャ”だったみたいです。

(田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)

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