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長寿研究のいまを知る(10)糖尿病薬「メトホルミン」が抗老化薬として注目されるワケ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月21日 9時26分

 米国では2020年から6年間行う「Targeting Aging with Metformin」(TAME)試験がスタート。全米14の主要研究機関が参加するこの臨床研究は65歳から79歳までの3000人以上が対象となる。研究の狙いはメトホルミンを服用している人が、心臓病、がん、認知症などの加齢に伴う慢性疾患の発症遅延や進行を経験するかどうかを検証することだ。

■長寿遺伝子の活性を高める

 メトホルミンがなぜ老化を防ぐのか?

「メトホルミンは、カロリー制限したときと同じようにオートファジーを活性化することがわかっていますが、注目すべきはミトコンドリアの活動にも影響を与えることです。ミトコンドリアは細胞内に数百~数千存在する細胞小器官で、細胞内に運ばれてきた栄養素や酸素を使ってエネルギーを作るエネルギー産生工場です」

 メトホルミンを使うと、ミトコンドリアの機能を回復させる酵素AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)が活性化し、ミトコンドリアが元気になる。

 AMPKは、細胞内でエネルギーが足りなくなると、それを察知してエネルギー産生に関わる酵素のスイッチをオンにする作用があり、燃料センサーと呼ばれている。AMPKはエネルギーの減少を察知し、エネルギーを増産する一方で消費の抑制を促し、インスリン抵抗性を改善する働きがあるともいわれている。

「AMPKは細胞内のNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド=エネルギー産生に必要な補酵素で加齢と共に減少)濃度を高め、現在まで7種類発見されている長寿遺伝子『サーチュイン遺伝子』のひとつの活性を高めます。さらに、ミトコンドリアの数を増やしたり、がん細胞の代謝を抑えるといったことが研究報告されています。しかも、AMPKは肝臓や心臓、視床下部など多くの器官を成す細胞内に存在しており、その活性はさまざまなメリットを生み出すことが明らかになりつつあるのです」

 2023年には、米国のユタ州立大学がメトホルミンに筋肉の回復を活性化する作用があるとの研究成果を発表している。研究グループは、60歳以上の健康的な男女20人を対象に比較試験を実施。5日間の安静期間の後、10人にメトホルミンを投与し、残り10人に偽薬を投与した。結果、投与群は筋肉の萎縮が少なく、炎症を示すマーカーが低下し、筋線維化を促すコラーゲンの沈着が少なかったという。

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