大の里が茫然自失 入門10場所、早すぎる大関出世の反動か…賜杯遠のく4敗目
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月21日 11時51分
隆の勝(右)の押し出しで敗れた大の里(C)共同通信社
うつろな表情がすべてを物語っていた。
大相撲九州場所の10日目(20日)、新大関・大の里(24)が痛恨の4敗目を喫した。
相手は9勝1敗と好調の平幕・隆の勝。ひたすら前に突き進む押し相撲が特徴の力士だが、この日は「奇策」に打って出た。立ち合いで変化すると、渾身のノド輪。意表を突かれた大の里は上体を起こされ、一気に押し出された。
9日目に続いての連敗とあってショックが大きかったのだろう。結びの一番の控え力士として土俵下の座布団に座るも、茫然自失の体。隆の里に加え、大関の琴桜、豊昇龍が1敗をキープし、賜杯は遠のくばかりだ。
阿炎、若隆景に先場所から連敗。前日は4戦4勝で得意とする大栄翔に初めて土をつけられた。
土俵際に押し込んでから、お株を奪う寄り切り。大栄翔は回転の速い突っ張りを得意とする押し相撲の力士だ。寄り切りで勝ったのは実に2年ぶりで、大の里はまんまとやられたわけだ。
この日も立ち合いで隆の勝にしてやられたように、相手によってはいい様にあしらわれている。
ある親方は「大の里の素質は並外れていることは確かだが……」と、こう続ける。
「いかんせん、経験不足です。まだ入門10場所目。大相撲は読み合い、騙し合いの面もある。馬鹿正直に真っ向から向かってくる相手ばかりではないし、まして大関相手であれば研究もしてくる。まだ入門2年目の大の里相手だけに、『坊やに負けられるか』となる。あまりに出世が早すぎて、まだ状況に応じた相撲が取れないのでしょう」
部屋では師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)と三番稽古をしているが、具体的な技術などは教わっていないという。「師匠も『まだ大の里は基礎固めの時期』というスタンス。相撲の幅を広げたければ体で覚え、頭で考えろ、というわけです」(前出の親方)
横綱昇進の最速記録は輪島の所要21場所。「天才」と呼ばれ、学生相撲出身で唯一の横綱である輪島ですら、それだけの時間がかかっている。
期待の新生も、当面は「勉強」の場所が続きそうだ。
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