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柏原明日架ちゃんの予選会で「押しかけキャディー」をやった顛末【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#10

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月22日 9時26分

柏原明日架ちゃんの予選会で「押しかけキャディー」をやった顛末【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#10

プロ2年目の日本女子オープンは2打差の4位(C)日刊ゲンダイ

【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#10

 女子ツアーは前週の大会で来季のシード選手が決まりました。メルセデスランク50位までに食い込めず、1回目のリランキングまでの出場資格も獲得できなかった56位以下の選手は、来週行われるファイナルクォリファイングトーナメント(QT)で出場権を取りに行きます。

「賞金稼ぎ」を生業とするプロゴルファーにとって、ファイナルQTは、まさに生きるか、死ぬかの大一番。ここで最大限サポートして結果につなげることができるかどうかが、「本物のプロキャディー」というのが僕の信念。1年間の「最終テスト」という考えは変わらず、今でもできるだけバッグを担ぐようにしています。

 そのファイナルQTで忘れられないのが2014年です。柏原明日架ちゃんが同年7月のプロテストに一発合格。アマチュア時代はナショナルチームに在籍し、数々の輝かしい成績を残した逸材ですから、近いうちにツアーで活躍することは間違いない。有望株が羽ばたく前に見たいという思いもありました。

 会場は自宅から近い葛城GC宇刈C。前年まで専属キャディーを務めた藤田(寛之)さんのホームコースですから、各ホールの隅々まで知り尽くしていると言っても過言ではありません。練習日に会場へ行き、明日架ちゃんを見つけるなり「僕にバッグを担がせてほしい」と言ったもんだからビックリされましたね。

 明日架ちゃんは「OK」してくれましたが、初日からゴルファー泣かせの強風が吹き荒れ8オーバー。近年、これだけ崩れたことはなかったはずです。2日目からはどうにか平常心でプレーしてもらおうと、1打目や2打目の狙いどころなど、いろんな助言をしたと思いますが、翌日も風はやまず80と崩れ、通算16オーバーは90位前後。普通の選手ならここで終わり。あとはガタガタ落ちていくだけです。でも、明日架ちゃんは3日目に落ち着きを取り戻し1アンダーで回り60位前後へ浮上。この日のアンダーパーは102人中わずか13人でした。

 結局、風は最終日まで吹き続け、通算18オーバー58位に終わりました。想定外の結果に明日架ちゃんは肩を落とし、僕もキャディーとしての力不足を痛感。

「推薦などで何試合か出られるから。明日架ちゃんならそこで必ずシードが取れるよ」と励ますのがやっとでした。

 しかし、明日架ちゃんはやっぱり非凡でしたね。翌年、推薦出場やリランキング上位などで20試合に出場。日本女子オープンでは3人によるプレーオフを制したチョン・インジに2打差の4位と健闘。計3試合でベスト10入りし、ランキング50位でシード権を取ったのです。今年は開幕前に結婚を発表し、シード権も再取得しました。再度の飛躍を期待します。

(梅原敦/プロキャディー)

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