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粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感(桧山珠美)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月24日 9時26分

粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感(桧山珠美)

本木雅弘(C)日刊ゲンダイ

【桧山珠美 あれもこれも言わせて】

 現在、NHKで「坂の上の雲」が再放送されている。15年前のドラマで、2009年11月から11年12月まで足掛け3年にわたって放送された。3部構成、全13話の超大作だ。司馬遼太郎の同名歴史小説を原作に、秋山真之と秋山好古の秋山兄弟と正岡子規という松山に生まれ、明治という時代を生きた3人の若者を軸に物語は進んでいく。

 ドラマは、真之を本木雅弘、好古を阿部寛、そして正岡子規を香川照之が演じた。他に子規の妹・律を菅野美穂、好古の妻・多美を松たか子、真之の妻・季子を石原さとみ……と豪華な俳優陣が顔を揃えた。

 東郷平八郎には渡哲也、大山巌が米倉斉加年、陸奥宗光が大杉漣、高橋是清が西田敏行と鬼籍に入ってしまった懐かしい顔ぶれも。

 当時、見ていたので再放送はいいかなと思っていたが、1話見て我慢がならず、毎週楽しみに見ている。圧倒的スケールで描かれた壮大な物語にクギ付けだ。

 そもそもNHKの大型プロジェクト「プロジェクトJAPAN」もので制作費も潤沢だったとはいうものの、昨今このスケール感のドラマを久しく見たことがない。NHKが本気を出したらすごいと思い知った。

消費されるどころか、視聴者の目に届くことなく消える

 NHKの再放送でもうひとつ。今週18日から昼帯に21年度後期の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の再放送を始めた。上白石萌音、深津絵里、川栄李奈の3人のヒロインでつなぐ100年の物語は大きな反響を呼び、ギャラクシー賞選奨をはじめ、放送文化基金賞奨励賞や東京ドラマアウォード2022連続ドラマ部門優秀賞に選ばれた人気作だ。

 再放送を前に「カムカム」の事前宣伝で名シーンをランキング形式で紹介するなど異例の扱いでNHKの力の入れようがわかるが、気の毒なのは橋本環奈の「おむすび」。「カムカム」に続いて放送されることで雑な作りが悪目立ちしている。同じNHK大阪制作なのにこんな残酷なことがあるだろうか。

 これら良作を見るにつけ、昨今の粗製乱造なドラマを憂う。しょぼいドラマを作るくらいなら、ある程度制作費がたまったところで、渾身の一作を作ればいいのに。

 そもそもドラマの数が増え続けることで消費されるどころか、視聴者の目に届くことなく消えてしまっている。

 そういえば、NHKで10月に亡くなった西田敏行の追悼番組として放送されていた「おらが春~小林一茶~」も素晴らしいものだった。こういう後世に残るようなドラマをもっと見たい。

 今からでも遅くないので、深夜のチャレンジ枠はともかく、ゴールデンなどは本数を絞って、予算も人員も時間もかけたものを作るべき。ドラマの大量リストラだ。人気の配信ドラマに対抗するにはそれしかない。

(桧山珠美/コラムニスト)

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