私が一貫して「守り勝つ野球」を掲げる理由…ただ、近年は守備の指導が難しくなっていることがもどかしい(持丸修一/専修大松戸 野球部監督)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月25日 9時26分
ロッテ美馬は藤代時代、毎日何百球も投げ込んだ(C)日刊ゲンダイ
【持丸修一 76歳名将の高校野球論】#51
私が目指しているのは「守り勝つ野球」です。最低3点をもぎ取り、2失点までに抑えて勝つ。指導者になった頃から一貫して掲げてきた理想で、このコラムでもたびたび書いてきました。
学校によって「攻撃野球」「機動破壊」など、さまざまなスタイルがあるなかで、なぜ私は守備に重点を置いているのかを、今回お話しします。
単刀直入に言ってしまえば、守備は「まぐれ」がないからです。練習すればするほどうまくなる。選手たちの練習と努力次第でメキメキと上達します。いい投手がひとり育てば、鉄壁の守備を築いて、1得点で勝つこともでき得るのです。
一方、「攻撃野球」を目指すならどうか。チームの中に何人も強打者を育てなくてはいけません。打撃は努力もですが、例えば遠くに打球を飛ばすのは天性の才能が必要です。全国から有望選手を集めればできるかもしれませんが、寮がなく、地域の子供のみで構成される専大松戸では非現実的です。50代半ばまで指導した茨城県の公立校、竜ケ崎一、藤代も同様でした。
どれだけ優れた打者でもプロの世界では打率3割で超一流。裏を返せば、トップ選手でさえ7割は失敗します。地方大会で大暴れしていた選手でも、甲子園で全国レベルの好投手と対戦したら、無安打に終わることも珍しくありません。
どんなに才能がある選手を育てても、成功率がせいぜい3割程度。高校野球の2年半の間に打撃に特化させて時間を割くのは、私にとって理にかなっているとは言い難いのです。
今後もこの方針を変えるつもりはありませんが、年々、守備の指導が難しくなっているように感じています。上達するには限界を目指して過去の自分を超えることが求められます。ところが、時代のせいか極端なまでにケガを恐れる選手が増えています。本来の力を出し切る一歩手前でセーブしてしまう。3年生ならまだしも、入学したての選手たちですらそうなのは心配です。成長速度が落ちるのはもちろん、かえってケガにつながりかねません。
限界に挑み続ければ、自分の体のことを理解できる。選手たちには「ケガをしても3日で治る程度に抑えろ」と言っていて、少し前ならこれで問題ありませんでした。
しかし、近頃の選手たちはそもそも限界にも疎いから、思わぬ大ケガをすることがあります。
自分の体を一番知れるのは自分しかいません。中学と高校1、2年くらいまでは臆病になりすぎずがむしゃらに取り組んで、自分と向き合う期間にしてもいいのではないか。今の子供たちを見て思います。
(持丸修一/専修大松戸 野球部監督)
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