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東京メトロはなぜ、ロンドン市営地下鉄の運営を受注できたのか? 意外に豊富な海外鉄道ビジネスの実績

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月25日 9時26分

東京メトロはなぜ、ロンドン市営地下鉄の運営を受注できたのか? 意外に豊富な海外鉄道ビジネスの実績

ロンドン地下鉄「エリザベス線」(C)Vuk Valcic/SOPA Images via ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ 「ZUMA Press」

 英・ロンドン交通局が日本時間11月19日、来年5月からロンドン地下鉄の「エリザベス線」の運営業務を東京メトロや住友商事などの合弁会社に発注すると発表した。

 東京メトロが自社路線以外の運行を担うのはこれが初めてのこと。鉄道会社が自社以外の路線を担当、それも海外の地下鉄を運営するという非常に珍しいニュースだが、そもそも、なぜ東京メトロは外国の仕事を受注できたのだろうか?

 鉄道に詳しいライターの小林拓矢氏は、「鉄道会社がほかの会社の路線を運営することは、戦時中に相模鉄道の運営を東京急行電鉄が運営するということがありました。また、神戸高速鉄道のように、車両や乗務員を他社が担うケースもあります」と言い、外資である東京メトロがイギリスの事業を受注できた背景について語る。

■日本の会社が担うということには何の問題もない

 地下鉄ともなると、それこそ安全保障にも関わりそうな事業であり、それを外資に任せるのは少々大胆すぎるようにも思える。だが小林氏は、イギリス側の考えに理解を示した。

「日本は英米など、自由主義経済圏の一員で、民主主義的な政治体制を共有しているという特徴があります。そのため、英国での鉄道事業を日本の会社が担うということには何の問題もないと考えているのではないでしょうか」

 イギリスから見て、安全保障上の問題は発生し得ないということのようだ。小林氏は併せて、東京メトロが海外の仕事を受注することのメリットについて語る。

「東京メトロはそもそも、海外鉄道ビジネスに熱心な会社です。すでに海外技術コンサルティング業務を手掛け、ベトナムには現地法人があり、インドネシアでも都市鉄道の支援をしています。鉄道会社の成長を支える源泉の一つとして、海外鉄道ビジネスに参画し、その拡大を図ろうとしています。海外での鉄道ビジネスに日本のノウハウを輸出することで収益を得ようとしています。英国では、すでにJR東日本はウェスト・ミッドランズ・トレインズに出資し、鉄道事業を手掛けています。日本企業の実績もあるのです」

■東京圏だけでは成長に限界がある

 鉄道会社たるもの、自社の沿線だけがビジネスの現場ではないということか。ビジネスの広がりとしては非常に夢があるようにも思えるが、その実態は切実なものだという。

「東京メトロは都市鉄道事業に強みを持つ会社ですので、そのビジネスを世界でも展開したいという考えです。成長に限界がある東京圏だけではなく、世界に事業を広めていこうという意図があります」

 東京にこもっていては、成長はおぼつかないということか。

  ◇  ◇  ◇

 大きな話題を呼んだ東京メトロの上場。関連記事【もっと読む】東京メトロは“例外”だ 新規上場株の少なさは深刻…IPO市場が低迷する理由…では、株式上場の難しさについて伝えている。

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