婚活アプリで男性に接触し連れ込んで…歌舞伎町ぼったくりバー「黒幕」の存在 被害総額3.5億円以上

押収されたトランプや明細書（Ｃ）共同通信社

　バー従業員の女らはマッチングアプリで知り合った男性を店に連れ込み、ぼったくりを繰り返していた。

　東京・歌舞伎町のバーで許可を得ずに酒を提供し、接待営業を行ったとして、従業員の中沢美亜容疑者（22）ら女3人と経営者の中村海斗容疑者（24）の計4人が23日、風営法違反（無許可営業）の疑いで警視庁新宿署に現行犯逮捕された。

　中沢容疑者らは恋愛・婚活アプリで知り合った男性と夕方、新宿駅東口で待ち合わせ。女らは男性と会うなり、「以前、入れなかったお店に行きたいの」「行ってみたいお店があるの」と言って、従業員であることを隠したまま雑居ビル地下1階の店に案内する。男性に1時間5000円の「飲み放題コース」をオーダーさせ、負けたら酒を飲むカードゲームをしようと持ち掛け、ショット1杯3000円のリキュール「クライナー」を浴びるように飲ませていた。

　飲み放題と思い込んでいた男性が会計する際、店側は「クライナーは飲み放題に含まれていない」と説明。数十万円から100万円、最高で500万円超を請求されたケースもあった。女らは「えっ、何で払えないの？」などと支払うよう促していた。

　昨年1月～今年10月、新宿署にアプリを悪用したぼったくり被害の相談が約550件寄せられ、被害総額は3億5000万円以上に上るという。

■秘匿性の高いテレグラムで指示

「被害男性らとマッチングアプリでやりとりをし、デートの約束を取り付けていたのは、中沢らとはまた別の人物だった。主要なアプリを複数利用して、カモになりそうな男性を物色していた。その人物が秘匿性の高いテレグラムを使い、従業員の女らに『新宿駅東口で男が待っているから』と指示を出していた。待ち合わせ場所に現れるのは若くイケてる女ばかり。被害男性は女たちの言いなりだった。現場に踏み込んだ際、店内にいたのが今回、逮捕された男女4人。中沢ら女3人以外にもぼったくり要員がいるとみている」（捜査事情通）

　被害を訴えた相談者の9割以上を20代、30代が占め、平均被害額は72万円だった。若くてかわいい女子と出会え、舞い上がりそうになっている男性の心理につけ込んだ悪質な犯行だ。