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自然災害、老朽化で使用禁止になる球場は少なくない…かつては「あわや大惨事」のコンクリート崩落事故も(友成那智)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月27日 9時26分

自然災害、老朽化で使用禁止になる球場は少なくない…かつては「あわや大惨事」のコンクリート崩落事故も(友成那智)

屋根が吹き飛ばされたトロピカーナ・フィールド(C)ロイター/Abaca Press

【メジャーリーグ通信】

 先月上旬、ハリケーン・ミルトンが米フロリダ州を襲い、レイズの本拠トロピカーナ・フィールドのグラスファイバー製の巨大な屋根が吹き飛ばされた。

 この球場を所有するセントピーターズバーグ市の発表によると、復旧には5570万ドル(約84億円)が必要で、時間もかかるため来シーズンの使用は不可能。レイズは同じタンパ地区にあるジョージ・スタインブレナー・フィールドを年1500万ドル(約23億円)でスタインブレナー家から借りて来季の本拠地とすることになった。

 メジャーの球場が自然災害によって大きなダメージを被ったケースはほかにもある。1994年1月にロサンゼルスでノースリッジ地震が発生した時は、エンゼルスの本拠地アナハイム球場のレフトスタンドに設置された巨大な電光掲示板が崩落。観客席も1000くらいが破壊され、がれきの山と化した。被害総額は300万ドルを超えたが、復旧作業が急ピッチで進められた結果、エンゼルスは予定通り4月11日にホーム開幕戦を迎えることができた。

 地震による被害と聞くと、メジャーリーグの歴史に詳しい方は89年のワールドシリーズ期間中に発生したロマプリエタ地震を思い浮かべるのではないだろうか?

 この地震は、マグニチュードが6.9の巨大地震で被害も甚大。ベイエリアのチーム同士の対戦(ジャイアンツ対アスレチックス)となったワールドシリーズが途中で10日間延期されたため、球場に何らかの被害が出たと勘違いされている。

 しかし10日間の中断は、高速道路の崩落などインフラに大きな被害が出たことによるもので、両チームの球場が地震の被害を直接受けたからではない。

 もうひとつ、自然災害と混同されがちなのが98年4月にヤンキースタジアムで起きた500キロのコンクリート崩落事故だ。この事故では2階席下面に亀裂が生じ、コンクリートだけでなく、鋼鉄製の梁も7メートル下の1階観客席に落下した。ただ、事故は午後3時ごろ発生したため人的な被害はなかったが、試合中に起きていたら大惨事になっていたところだ。

 事態を重く見たニューヨーク市当局が10日間、観客をシャットアウトし原因究明を進めた。結果、原因は「老朽化」であることが判明。崩落したコンクリートの塊と鋼鉄製の梁は、ヤンキースタジアムが23年に建設されたときに使用されたものだが、球団が安全面を軽視。経年劣化が進んでいるのを承知しながら定期点検を怠ってきたため、金属腐食が起きていることに気が付かず、崩落に至ったのだ。このことはメディアで広く報じられ、新ヤンキースタジアム建設を望む声が沸騰するきっかけになった。

(友成那智/スポーツライター)

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