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今年の紅白歌合戦も出場ナシ…NHK×旧ジャニーズの今後は「出演交渉の主導権」をどちらが握るかだ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 9時26分

今年の紅白歌合戦も出場ナシ…NHK×旧ジャニーズの今後は「出演交渉の主導権」をどちらが握るかだ

NHK(C)日刊ゲンダイ

【芸能界クロスロード】

 紅白出場歌手に対するメディアからのツッコミは今や慣例。今年も「知らない歌手が選ばれた」「目玉がいない」などのお馴染みの指摘が並び、「視聴率低下は必定」「紅白はすでにオワコン」と結論づける報道が目に付いた。

 唯一、例年と違ったのはスタートエンターテイメント社(旧ジャニーズ)所属のタレントの問題。

 ジャニー喜多川氏の性加害問題で昨年9月からNHKは全番組で「起用しない」方針を打ち出していたが、今年10月に解除。さっそく出演交渉に臨むも、スタート社は出演を辞退。今年もゼロになった。出はなをくじかれたNHKの稲葉延雄会長は「結果的に応じていただけなかったのは残念だなと思っている」と語った。

 要因に挙げられているのが10月20日に放送されたNHKスペシャル「ジャニー喜多川“アイドル帝国の実像”」だ。ジャニーズ創設者のジャニー氏と姉のメリー喜多川氏が帝国を築いた軌跡を、関係者が実名で証言。

「知らない話もあり興味深かった」と業界でも大きな話題を集めた。

 姉と弟で築いた会社を基盤に成り立っているのがスタート社。「今さら、迷惑な話」とNHKに対し不快感を覚えたとしても不思議はない。

 実際、特集で扱われた、元アイドルの姉に対する担当者の電話対応のまずさを非難された。元NHK理事で現在はスタート社の顧問を務める若泉久朗氏に対する取材もあった。若泉氏はジャニーズの実情を知るキーパーソンだった人物だ。

 いまだに取材に応じたことのない若泉氏を番組はカメラを回しながら直撃。面食らったように「なんで僕なんですか。しかも仲間じゃないですか」と声を荒らげていた。NHKの後輩からの突撃取材に、「かなり怒っていた」という話も聞く。紅白出演拒否の引き金になったとしても不思議はない。

 改めてNHKと旧ジャニーズの関係をひもとく。テレビ局と芸能事務所は本来、五分と五分の関係から始まる。次第に力関係が歪になってくる。力を持った旧ジャニーズが主導権を取り、紅白に何組もグループを出演させてきた。

 NHKは視聴率もあり関係を続けていた。この絶対的な関係が性加害問題によって崩れた。被害者への補償も解決の方向に向かい、両社の修復に向けての話し合いがいきなり紅白の出演交渉となった。

「原点に戻り対等な立場で話し合いが持たれたのでしょうが、放送日のタイミングに番組内容も含め不信感を持ったのでは」と芸能関係者は言う。

 去年は「出してもらえなかった」が、今年は逆に「出てあげない」。そんな単純な見方もできるが、要は出演交渉の主導権をどちらが握るかにある。

 スタート社にとってもこのままNHKとの関係を戻さないわけにはいかない。NHKには「大河」「朝ドラ」という国民的ドラマもある。両ドラマの出演は俳優として飛躍するきっかけになる。特に朝ドラは俳優を目指すアイドルにとっても登竜門。過去、「おかえりモネ」に出演した“キンプリ”永瀬廉。SixTONESの松村北斗は「カムカムエヴリバディ」出演で大きな注目を浴びた。

「民放のドラマ主演よりNHKの朝ドラ出演は脇役でも価値がある」といわれる時代。来年の朝ドラの追加出演はまだ間に合う。紅白より朝ドラ出演がNHKとの関係修復になるのかもしれない。

(二田一比古/ジャーナリスト)

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