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歯の治療を受けるならクスリに注意(3)【降圧薬】歯肉増殖症で切除するケースも

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 9時26分

歯の治療を受けるならクスリに注意(3)【降圧薬】歯肉増殖症で切除するケースも

写真はイメージ

 日本高血圧学会によると、日本では高血圧の治療のために約2400万人が降圧薬を服用しているという。

 そのうち、最も処方されている降圧薬が「カルシウム拮抗薬」だ。血管壁の筋肉に対するカルシウムの働きを抑えることで血管を広げ、末梢血管の抵抗を減らして血圧を下げる作用がある。

 このカルシウム拮抗薬を服用している人は、歯科治療に関わる副作用が生じる可能性があるという。

 小林歯科医院院長の小林友貴氏は言う。

「歯肉が過度に腫れたり増殖する『歯肉増殖症』が起こるケースがあるのです。長期にわたってカルシウム拮抗薬を服用している人の約20%に歯肉の腫れが生じるといわれています。カルシウム拮抗薬の服用がなぜ歯肉増殖症を起こすのかについては、まだはっきりわかっていませんが、歯肉の線維芽細胞が関与しているコラーゲンの分解が抑制されて線維化が進むためと考えられています。ただ、一番の要因になるのは口の中の環境が悪い場合です。口腔内の清掃状態が悪くプラークや歯石が蓄積していると、歯肉に刺激が加わったり炎症が生じ、歯肉増殖症が悪化してしまうのです」

 いくつかあるカルシウム拮抗薬の中でも、ニフェジピンによる発症率が最も高いと報告されている。そのため、カルシウム拮抗薬による歯肉増殖症の治療は、可能であれば原因になっている薬の変更を行うのが望ましいという。

「さらに、プラークや歯石を取り除いたうえで、日頃から正しいブラッシングを続ける口腔衛生管理をきちんと行うのが基本で、一般的には1カ月程度で改善します。ただ、それでも治らないときは、適切なブラッシングの妨げになるなど口腔内の衛生管理に支障が出ることもあり、増殖した歯肉の切除が行われるケースもあります」

 薬の副作用による歯肉増殖症は、カルシウム拮抗薬以外にも、抗てんかん薬のフェニトイン、免疫抑制剤のシクロスポリンなどでも起こるリスクがある。普段から服用している薬があり、歯茎の腫れや歯周炎などで歯科治療を受ける際は、お薬手帳を必ず持参して、常用している薬をきちんと伝えたい。=つづく

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