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散らかった部屋やオフィスは「発想力」「想像力」を刺激する【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月29日 9時26分

散らかった部屋やオフィスは「発想力」「想像力」を刺激する【科学が証明!ストレス解消法】

散らかったデスクはアイデア出しに最適?(C)iStock

【科学が証明!ストレス解消法】#193

 企画書など、クリエーティブな発想が求められる仕事を前にしたとき、良いアイデアが思い浮かばずにずるずると時間だけがすぎていく……。このような経験がある人は多いのではないでしょうか。

 やり方や答えが見えている単純な作業なら、たとえ面倒であっても機械的に進めていくことができます。しかし、発想力や企画力が求められる仕事は、マニュアル通りというわけにはいかないため、何も進まないことが珍しくありません。

 企画書の内容が決まった状態で、それを書類やスライドにまとめていく作業と、「どんな企画にするか」を考えるクリエーティブな作業は、実際に脳科学においても脳の使い方が異なると考えられています。

 俗にいう“ひらめき”が求められるわけですが、興味深い研究があります。ミネソタ大学のヴォーズらの「創造性は散らかった環境でこそ発揮される」とする研究(2013年)です。「デスクが散らかっていると仕事や勉強に集中しにくくなる」とする研究もあるため、全員にあてはまるわけではありませんが、散らかっていることは「良くないこと」だとは言い切れないというわけです。

 ヴォーズの研究では、48人の被験者を次の2つの部屋にわけました。①書類がきっちりと机の上に片付けられている「整頓された部屋」②書類が机の上や床に散乱している「散らかった部屋」。

 そして、ピンポン球を作る製造会社のために、「ピンポン球の新しい使い方を考える」という、創造性を問う課題を与えました。すると、散らかった部屋の被験者のほうが、創造性が高くなるという結果が報告されたのです。置かれている環境が、好みや選択、そして行動を変えることも証明されたといいます。

 また、別の実験では、整頓された部屋でメニューを考案した参加者は、伝統的なレシピをベースにしたものが多かった一方で、散らかった部屋の参加者は、常識を覆すような創作料理を多く生み出したという報告もされています。

 ヴォーズらの研究によれば、整頓された環境にいる人は、伝統や慣習に倣いがちで、勉強や日頃行っている作業に集中できるとのこと。その一方で、散らかっている環境にいる人は、それらから解き放たれるとしています。つまり、日常業務的な仕事をするのであれば、整頓されているデスクの方が好ましいが、発想力を求められるような仕事においては、デスクの周辺にさまざまなものが置かれている方がアイデアが浮かびやすいというわけです。

 極端な例かもしれませんが、理論物理学者として知られる天才アルバート・アインシュタインの机は、常に書類やノートが散乱していたといわれています。また、絵画や彫刻などのアートだけでなく舞台芸術や詩人など幅広く制作活動をしていたパブロ・ピカソのアトリエも、ひどく散らかっていたことで有名です。アイデアが求められるような仕事をするときは、煩雑な場所で仕事をすると思わぬ成果を上げられるかもしれません。環境によってクリエーティビティーは変えられるのです。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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