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新薬の登場で認知症は早期発見がいよいよ重要になってきた【第一人者が教える 認知症のすべて】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月3日 9時26分

新薬の登場で認知症は早期発見がいよいよ重要になってきた【第一人者が教える 認知症のすべて】

新薬の投与は脳の萎縮が起こる前に

【第一人者が教える 認知症のすべて】

 アルツハイマー型認知症の原因物質、アミロイドβを除去する2つの薬「レケンビ(レカネマブ/2023年9月承認)」と「ケサンラ(ドナネマブ/24年9月承認)」。前回に続き、これらの薬について紹介したいと思います。

 レケンビとケサンラは作用機序、副作用は同じですが、対象や使い方にやや違いがあります。

 アミロイドβは、認知機能低下などの症状が出る20年以上前から脳に蓄積し始め、タウタンパクの凝集、脳の神経細胞の死滅、脳の萎縮を引き起こします。脳の萎縮が起こってからアミロイドβ除去の薬を投与しても遅く、その前から行わなければなりません。

 そのためレケンビ、ケサンラともに、軽度のアルツハイマー型認知症か、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の患者さんが対象。残念ながら症状が進行した患者さんは対象外となります。

 なお、「軽度のアルツハイマー型認知症」も「MCI(軽度認知障害)」もどちらも“軽度”がつきますが、一方はすでに認知症と診断されており、一方はそうではありません。

 認知機能の評価は、MMSE(ミニメンタルステート検査)で行います。認知機能を簡易に検査できるテストで、30点満点、27点以上が問題なしとなります。

 レケンビでは22点以上、ケサンラは20点以上が投与の対象。わずか2点ではありますが、ケサンラの方が認知機能の低下が少し進んでいても、投与の対象となります。

 認知症には、アミロイドβが原因物質の場合もあれば、そうではないものもあります。レケンビもケサンラもアミロイドβに働きかけるわけですから、アミロイドβの蓄積が必須条件。

 アミロイドPETや髄液検査を、投与前に必ず行います。

どちらも進行を止めるが…「レケンビ」と「ケサンラ」の違い

 今年9月に承認されたケサンラは、臨床試験の第3相試験で、投与12カ月で7割近くの人でアミロイドβを完全除去できる可能性があることが示唆されました。

 さらにケサンラをプラセボ(偽薬)に切り替えたグループ解析の結果も提示しており、患者背景を調整していないための解釈に留意が必要としつつも、「ケサンラからプラセボに切り替えた場合でも、76週までプラセボ群に比べて進行の抑制が認められており、ケサンラ完了後も疾患の進行抑制効果が認められる」という発表をしています。

 この結果から、ケサンラは投与期間の目安を12カ月間としており、最長は18カ月。なお、レケンビの投与期間も基本的に18カ月となっています。アミロイドβの減少の程度を確認するために、ケサンラは投与12カ月を目安にアミロイドPETを実施することが定められています。減っていたら、ケサンラの投与はそこで終わりとなります。一方、レケンビは12カ月後のアミロイドPET検査は決められておらず、受ける場合は自費となります。

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