子どものアトピー性皮膚炎を悪化させない、しっかり治す…「見た目が良くなった=完治」ではない
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月3日 9時26分
ステロイド軟膏は、保護者の人さし指の先から第1関節までに乗せた薬の量を「FTU(フィンガー・チップ・ユニット)=1単位」とし、年齢、場所に応じて何単位塗るか決められている。ステロイド軟膏は5段階の強度があり、塗る場所で適切な強度が異なる。
これらの薬は、使用期間が短かったり、少し良くなったからと中止したりすると、皮膚の炎症が悪化。薬を強いものにしなければならなくなっていく。「見た目が良くなった=炎症が治った」ではない。炎症を完全に鎮めるためには、自己判断は禁物だ。
「現在のアトピー性皮膚炎の治療はプロアクティブ療法といって、最初からステロイド軟膏を積極的に使い、炎症を鎮めます。その後に保湿外用薬によるスキンケアに加え、ステロイド軟膏やタクロリムス外用薬を週2回など定期的に塗布し、寛解状態を維持します。最終的には、症状はあっても日常生活に支障がない程度に軽く、薬物療法もあまり必要としない、たとえ悪化しても持続しないところを目指します」
保湿対策が不十分なことも、共通点として挙げられる。シャンプーや石鹸の多用は、皮脂ばかりか、アトピー性皮膚炎の悪化を抑える皮膚の常在菌も洗い流してしまう。石鹸はよく泡立ててから肌をこすらないようにして使い、入浴後は保湿剤を使うことを心がけたい。保湿剤の量の目安は、前述のFTU1単位が、手のひらの面積2枚分。ティッシュが皮膚に付く程度、と覚えるのもいい(保湿剤の種類で異なる場合もある)。
◇ ◇ ◇
■【抗体医薬】
「デュピルマブ(商品名:デュピクセント)」6カ月以上
「ネモリズマブ(ミチーガ)」6歳以上
「レブリキズマブ(イブグリース)」12歳以上かつ体重40キロ以上
【経口JAK阻害薬】
「バリシチニブ(オルミエント)」2歳以上
「ウパダシチニブ(リンヴォック)」12歳以上かつ体重30キロ以上
「アブロシチニブ(サイバインコ)」12歳以上
※抗体医薬も経口JAK阻害薬も分子標的薬。抗体医薬は抗体を利用して抗原を狙い撃ちし、経口JAK阻害薬はJAK(ヤヌスキナーゼの略称)という酵素を狙い撃ちにする薬
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