遅咲き米国女王が坂本花織の連覇に立ちはだかる フィギュアGPファイナルは6人中5人が日本人

アンバー・グレン（Ｃ）ロイター

　フィギュアスケートの年間王者を決めるグランプリ（GP）ファイナルが、日本時間5日にフランス・グルノーブルで開幕する。

　フィギュア大国のロシアがウクライナ侵攻による制裁を科されていることもあり、GPシリーズ上位6人のうち、日本女子は史上最多5人が出場する。

　本命は世界選手権3連覇中で、ファイナル連覇が懸かる坂本花織（24）だ。今季は10月に第2戦のカナダ杯で優勝。11月の第4戦NHK杯ではSP、フリーで合計231.88点の今季世界最高をマーク。技術点に加え、演技構成点もレベルの高さをアピールした。

　かねて安定感のあるスケーティングを披露する女王に立ちはだかるのは、唯一の海外勢であるアンバー・グレン（25=米国）。今季はフランス杯、中国杯で計2勝を挙げ、シニア転向10シーズン目にして初のGPシリーズを制した。遅咲きの米国女王はSP、フリー両方で取り入れているトリプルアクセルが武器。精度の高さだけでなく、女子のスケーターとしては珍しい170センチの長身を生かしたダイナミックなジャンプに定評がある。

　グレンは2019年に米メディアのインタビューでバイセクシュアルを告白。先のフランス杯を制した際には発達障害の一種であるADHD（注意欠陥多動性障害）を患っていることも明かして話題になった。

「女子では性的マイノリティーであることを初めて公にした選手です。米国とカナダのフィギュア連盟がLGBTQ（性的少数者）支援を打ち出したことで世界のフィギュア関係者が賛同。今回は6人のうち日本勢が5人も占める中、唯一の米国勢ということもあり、グレン有利のジャッジを下す審判も出てくるのではないか」（スケート記者）

　世界女王の坂本はグレンを圧倒する演技を披露できるか。