ドジャースだけ「後払い契約」がボロクソ叩かれる理由…なぜ他29球団はマネしないのか、できないのか?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月7日 9時26分
大谷翔平(C)共同通信社
大谷翔平(30=ドジャース)が10年1000億円超の97%を契約期間後に受け取ることで話題になった後払い契約。
ドジャースがベッツ(32)やフリーマン(35)にも同様の手法を用いていたどころか、このオフもサイ・ヤング賞左腕のスネル(31)の5年約273億円、リーグ優勝決定シリーズMVPのエドマン(29)の5年約111億円も後払いにしたことで、全米から批判にさらされている。「USAトゥデー」、「ニューズウィーク」、「ファンサイディッド」などが元メジャーリーガーらのコメントを使ってドジャースをバッシングしているのだ。
後払い契約はそもそも年俸総額が一定額を超えた球団が「ぜいたく税」を支払う制度の間隙をついた手法だ。戦力均衡を目的としたルールをないがしろにするものだけに、批判されるのは当然と言えば当然だ。
とはいえ、ルール違反ではないのだから、他の29球団も「後払い契約」を乱発、ドジャースに負けじと優れた選手をかき集めればよいのではないか。それとも、やりたくてもできない事情があるのか。
野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏はこう言う。
「後払い契約はもともと、90年代に一般的な手法だったのです。後払いを連発して選手を集め、2001年のワールドシリーズを制したのがダイヤモンドバックスでした。ところが、いずれ支払わなければならない後払いによって後に経営破綻した経緯がある。後払いは利息まで付けて返済する義務が生じるため、経営者は大きな負債を抱えることになるわけで、2010年代に入ると一般的ではなくなった。例えば代替わりしたヤンキースのスタインブレナー家やカブスのリケッツ家は家業を守らなければならないし、後先考えない投資はやりづらいのです」
そしてこう続ける。
「メジャーのオーナーは投資家が多い。ドジャースのウォルター・オーナーも投資家です。が、投資家は大きく分けて2通りある。ひとつはウォーレン・バフェット型で、株式を長期保有する堅実なタイプ。もうひとつはジョージ・ソロス型。ハイリスク、ハイリターンで積極的に投資をするタイプです。多くのオーナーがバフェット型なのに対し、ドジャースのウォルターはソロス型。勝ち続け、常にドジャースタジアムを満員にしていくつもりなのでしょう」
ドジャースの後払いはすでに1500億円を超えた。それでも経営者サイドには勝算があるわけで、他の29球団はマネしたくてもできない。つまり、やっかみ、妬みが批判につながっているようなのだ。
◇ ◇ ◇
ところで、いまやメジャーリーグの顔となった大谷だが、2028年ロス五輪に本人は乗り気でも「出場できない可能性」が濃厚だという。いったいなぜか。どうして大谷は大舞台に立てないのか。その「3つの理由」とは。
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