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大腸がん検診ガイドライン改訂…「2年間隔」と「1回」が認められたが早合点は禁物【中川恵一 がんサバイバーの知恵】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月7日 9時26分

大腸がん検診ガイドライン改訂…「2年間隔」と「1回」が認められたが早合点は禁物【中川恵一 がんサバイバーの知恵】

年2回検便でチェックを

【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】

 大腸がん検診ガイドラインが19年ぶりに改訂されました。大腸がん検診は現在、40歳以上を対象に毎年、便潜血検査(検便)を2回行うことが基本です。改訂では、検診間隔と採便回数について2年間隔と1回も認められる、としています。もうひとつ、検診の終了年齢は74歳が妥当であることも明記されました。

 そんなアナウンスがなされると、検診嫌いな方は「2年ごとに1回の検便でいいのか」と早合点するかもしれません。しかし、その考え方はよくありません。

 改訂で1回の検便を許容したのは、検査精度が向上していることが要因のひとつです。大腸がんを見つける感度(大腸がん患者が検査で陽性となる確率)は84%で、特異度(大腸がんでない人が陰性となる確率)は92%。前回改訂で根拠となった日本の感度は5割程度でしたから、数値は大幅に改善。国外でも3割から9割近くに上昇しています。

 この検査精度の向上に加えて、1回法と2回法を比較すると、どちらも同程度の感度と特異度であることが分かったことから、ガイドラインでは「1回法でも2回法でも可能である」と表現しています。検査間隔についても同様です。1年間隔、2年間隔などで大腸がんや前がん病変の発見率に有意差がなく、「検診間隔を1年から2年にすることも可能である」と表記しています。

 つまり、1回と2年間隔を積極的に推奨しているわけではありません。これまで通り毎年2回の検便でチェックするのがよいと思います。

 私の知人の会社はこれまで1回法のがん検診が行われていました。その方は今春、2回法で陽性となり、内視鏡検査の結果、進行した大腸がんが見つかりました。その方は健康関連の施策をチェックする要職にあったこともあり、自らの体験を機にその後、会社としてのがん検診を2回法に変更しています。

 また、私の義妹は43歳でステージ4の大腸がんが見つかり、その後、亡くなりました。ここまで進行したのは、検便を受けていなかったためで、もし毎年2回法で受けていれば1~2年早く、早期で見つかっていた可能性はあるでしょう。

 日本人の場合、大腸がんは若年発症のケースが少なくありません。今回の改訂では、「45歳以上あるいは50歳以上でも許容する」としていますが、この点についても従来通りの40歳以上が無難です。

 最後に74歳で検診を終了することについては、年齢的な検査の負担の重さや合併症などが考慮されていますが、身体機能が保たれている高齢者はそうではなく、その年齢を過ぎても受診機会が提供されるべきとしています。

 ぜひ読者の方は、早合点せず毎年2回きちんと検便を提出して、大腸がんの早期発見に努めてください。

(中川恵一/東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授)

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