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「ふてほど」河合優実も大ブレーク “2番手俳優”こそ最強の時代になってきた

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月12日 9時26分

「ふてほど」河合優実も大ブレーク “2番手俳優”こそ最強の時代になってきた

河合優実(C)日刊ゲンダイ

【芸能界クロスロード】

 今年の流行語大賞に選ばれたのは「ふてほど」だった。「本当にはやっていたの?」「初めて聞いた」という人が大半という珍事となった。

 今年1月期のTBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」を略し「ふてほど」になったと解説付きの流行語に、表彰式に出席した主演の阿部サダヲも「自分たちで言ったことはないんですけど~」と気まずそうな表情だった。

 ドラマの平均視聴率は7%台でヒットとは言えないが、話題性は今年一番だった。ドラマそのもののタイトルにしたほうが多少の説得力はあったが、タイトルを縮めて「ふてほど」を流行語にするのは無理があった。流行語は1年を通して誰もが知っている言葉が条件のはず。昨年の阪神・岡田監督の「アレ」、4年前のコロナ禍の「3密」など、誰もが口にした言葉だった。ドラマから選ばれたものでも、安達祐実の「同情するならカネをくれ」、半沢直樹の「倍返し」などの名ぜりふばかりで、普段の生活の中でもよく使われていた。今回は誰も使ったことも聞いたこともない。「不適切な選考にもほどがある」と言われても仕方ない。

 阿部もしらけたような会場の空気を察知したのか、個人的な流行語を聞かれ「“背中痛い”ですかね」と笑いを誘っていたのが救いだった。

 このドラマから流行語を選ぶなら阿部の娘役で出演した河合優実の名前を流行語にしたほうが多少の納得感はあったかもしれない。河合はドラマの好演で一気にブレーク。「若いのに凄い演技をする」と世間に認知された。今年のYahoo!検索大賞俳優部門で1位に輝いた。

「ふてほど」以上に改めて名前を上げたのが阿部。すでにベテランの域に入るが今年の活躍は目覚ましいものがある。

「ふてほど」に主演した後、脇役を務めた映画が次々に公開。「ラストマイル」では流通大手会社の局長。「十一人の賊軍」では家老。今月13日公開の「はたらく細胞」では人間パートで出演している。主演・脇役問わず、どんな役もこなし、確実に足跡を残す存在感。「安心と期待感を持てる俳優」という。

 近年の大リーグでは「2番打者最強」といわれる。大谷翔平もシーズンの大半を2番打者で活躍した。

 映画・ドラマでも2番手の俳優こそ最強の時代になってきた。2番手とは単に脇役を務めるのではなく、野球のようにホームランも打てればヒットも打つ。隙あれば盗塁もする。そんなオールマイティーの俳優。演技力の高い脇役俳優はいるが、「役がハマらないと弱い」といわれる人が少なくない。阿部はシリアスからコミカルまでジャンルを問わず幅広い役をこなす高い演技力でファンも多い。

「阿部が出演者に入るだけで、見る人は面白そうと期待感を持ち観客動員につながる」(映画関係者)

 阿部に続き、濱田岳も2番手俳優として欠かせない。最近、2番手で頭角を現してきたのが斎藤工。

 今年も永野芽郁の「君が心をくれたから」であの世から来た案内人。木村拓哉の「Believe」では風変わりな弁護士。放送中の「海に眠るダイヤモンド」では神木隆之介の兄役。謎めいたワイルドな男でドラマのキーパーソンになっている。「昼顔」で注目されて10年。主役より脇役に活路を求め、さまざまな役で存在感を放つまでになった。

 来年は誰が2番手俳優として名乗りを上げるのか。

(二田一比古/ジャーナリスト)

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