なぜロッテは5球団争奪戦に勝てた? 石川柊太の心を掴んだ「マリンの風」だけじゃない独自の“強み”
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月12日 11時31分
石川柊太(C)共同通信社
千葉の鴎がまさかの凱歌を上げた。
ソフトバンクからFA宣言をしていた石川柊太(32)が昨11日、ロッテ入りを決断。先発と中継ぎをこなせる右腕として、通算56勝41敗、防御率3.32。今季は中継ぎ5試合を含む15試合の登板ながら、7勝(2敗)、防御率2.56をマーク。年俸は1.2億円も、人的・金銭の補償が必要ないCランクとあり、宣言残留を認めていたソフトバンクを筆頭に、巨人、ロッテ、オリックス、ヤクルトによる5球団の争奪戦に発展した。
ロッテの提示額は3年6億円程度。必ずしも他球団を上回る条件ではなかったとみられるが、そんなロッテが争奪戦を制したのはいくつかの理由がある。
かねて在京志向があった上に、石川はロッテが本拠地とするZOZOマリンスタジアムと相性が良く、通算7勝1敗。今季も3試合で無失点だった。鋭く曲がるカーブを武器にする石川にとって、マリンの風はまさに「鬼に金棒」だ。
それにしてもロッテはFA戦線に強い。高額の大物には手を出さないが、19年には4球団が競合した前楽天の美馬(Bランク)、同じく6球団が争った前ソフトバンクの福田(Cランク)のダブル取りに成功。美馬は3年総額5億円、福田は4年総額6億円と、決して他球団より高い条件だったわけではない。それでも数ある球団の中からロッテを選んでいる。
球団OBは「多額の札束を積めないロッテの武器はコネ、人の縁です」とこう続ける。
「石川がロッテ入りを決断したのは、マリンの風だけではない。交渉に同席した吉井監督は石川を以前から高く評価しており、昨年投手コーチを務めたWBCでは当初、代表に招集しようとしたほど。最終的に故障で辞退したといわれていますが、石川自身、吉井監督に対して好印象を抱いていると聞きました。美馬にしても、当時の井口監督と同じ事務所という縁があった。福田はプロ入り前はロッテ志望。さらにソフトバンク時代に慕っていた鳥越コーチが当時、ロッテにいたことも大きかった」
福田はロッテ移籍直後、本紙の直撃に、「鳥越さんから電話をいただくたびに、必ず井口監督がそばにいらっしゃって、『一緒にやろう』と声をかけてくれた」と話していた。さらに松本球団本部長はスカウト時代、06年ドラフトの数日前に福田を視察。福田も「13年の時を経てというか、縁ってあるんだなと思う」と振り返っていた。
今回の石川も、FAに強いロッテが確実に獲物を仕留めたと言えそうだ。
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