2028年ロス五輪マラソン代表選考に新制度「ファストパス」導入のジレったさ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月14日 9時26分
1984年ロサンゼルス五輪でのアンデルセンのゴールシーン(C)共同通信社
入賞以上、メダルを狙うための策だという。
日本陸連は去る11日、2028年ロサンゼルス五輪のマラソン日本代表の選考方針を発表。従来のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)の上位選手に加え、対象期間中(25年3月~27年3月)に設定タイムを突破した最上位の選手も代表に内定する「ファストパス」を新たに導入する。
男子の設定タイムは日本記録より57秒速い2時間3分59秒。女子の2時間16分59秒は2分も速い。
最優先で内定を出すだけに、日本記録更新が条件となる。この新しい選考法について、ある実業団OBは「国内全体のレベルアップにつながるはず」と、こう語る。
「ペースメーカー(PM)のいないMGCはレース展開が読めず、27年秋の開催も残暑が懸念される。それならPMのいる冬のレースで日本記録を更新し、先に代表内定をもらった方がいいと考える選手は多いでしょう。実際に日本記録が出ても出なくても、スピード化という意味では国内全体のレベルアップにつながるでしょう」
が、真夏に行われる五輪は近年、酷暑との闘いでもある。初めて女子マラソンが正式採用された1984年ロス五輪の時でさえ、脱水症状で意識朦朧の選手が制止を振り切りフラフラになりながらゴールしたことが美談になったが、今ならとんでもない話だ。当時のスタートは朝8時でレース終盤の気温は30度。28年大会はスタート時間を早めても、棄権者が続出するかもしれない。
別の実業団OBが言う。
「毎年3月に行われるロスマラソンはドジャースタジアムからスタートし、気温は約10度で肌寒いくらい。でも、ロス五輪のマラソンは7月末に行われる。東京五輪の開催前にも言われたことですが、速さより暑さに強い選手が有利になる可能性が高い。PMが先導する冬のマラソンで日本記録を更新しても、必ずしもメダルにつながるとは言えない。暑さに強い選手を1人は代表入りさせる仕組みを考えるべきです」
ロスは“太陽の街”ということをお忘れなく。
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