クスリをお湯で溶かして投与する「簡易懸濁法」はメリットが多い
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月14日 9時26分
写真はイメージ
前回お話しした胃ろうや、鼻から胃にチューブが入っているような高齢患者では、クスリが必要なケースがほとんどです。そうした場合はチューブを介してクスリが投与されるのですが、当然、錠剤やカプセルといった形のままで投与することは現実的ではありません。
そのような場合、従来は薬局で調剤する際に錠剤を粉砕したりカプセルの中身を出し、粉の状態にしてクスリが交付されていました。投与するときは、粉状のクスリを水に溶かして、もしくは懸濁して、それを投与用の注射器のような器具で吸っていました。
ただ、この方法にはいくつか問題点がありました。まず、調剤に時間がかかる=薬局での待ち時間が長くなることが挙げられます。錠剤を粉砕する機械もありますが、それでも通常の調剤よりは時間がかかってしまいます。また、調剤時にクスリの成分がロスしてしまうリスクもあります。錠剤を粉砕したりカプセルの中身を出したりする過程で、すべてのクスリを回収できればよいのですが、容器や器具の壁にひっついたり隙間に入り込んだりして、わずかですがどうしてもロスになってしまうクスリが出てくるのです。他にも、調剤する人や投与する人がクスリに暴露してしまう可能性もあります。
こういった問題点を克服するために生まれたのが「簡易懸濁法」です。錠剤やカプセルといった形のままクスリを約55度の温湯で直接溶かす(懸濁する)方法です。
具体的には、容器にクスリと温湯を入れて少し時間をおき、溶けたものをクスリ投与用の器具で吸って投与します。また、クスリ投与用の器具に錠剤・カプセルを入れ、その状態で温湯を吸って器具の中で溶かす方法もあります。
これらの簡易懸濁法だと、前述の問題点はほぼ克服できます。容器の壁にひっついたクスリも、何度かすすぐことで回収が可能です。粉状にして溶かすか、錠剤・カプセルのまま溶かすかの違いだけなのですが、結構メリットが多いです。55度の温湯は、熱湯と水を2:1の割合で混ぜることで簡単に準備できます。
さて、こんな便利な簡易懸濁法ですが、もちろん適さないクスリもあります。特殊なフィルムでコーティングされていて温湯では溶けないもの、効果が持続するように成分が少しずつ放出されるようになっているもの、安定性が低いものなどが該当します。
また、溶かすことでクスリの成分そのものの“味”が出てきてしまうので、口からの服用はできないことはありませんが、それなりの覚悟が必要になるでしょう。基本的にはチューブを介してクスリを投与するときに用いる方法と考えていただいて結構です。
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