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テレビ朝日の視聴率上位独占から見えるもの 他局が切り捨てた中高年層の受け皿に(桧山珠美/コラムニスト)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月15日 9時26分

テレビ朝日の視聴率上位独占から見えるもの 他局が切り捨てた中高年層の受け皿に(桧山珠美/コラムニスト)

黒柳徹子(C)日刊ゲンダイ

【桧山珠美 あれもこれも言わせて】

 10日放送の「プラチナファミリー」(テレビ朝日系)を見た。高嶋ちさ子と小泉孝太郎がMCをつとめ、黒柳徹子はスペシャルゲスト扱い。副題に「ちさ子&孝太郎が華麗なる一家の暮らしをのぞき見」とあるようにセレブの暮らしぶりに密着する番組だ。

 この日は石原裕次郎を育てた映画監督・井上梅次を父に、大女優・月丘夢路を母に持つ料理研究家・井上絵美に密着。その世界では有名な方のようで、ちさ子も料理本を何冊も持っていて「すごく尊敬している」とか。井上の住まいは日本の超高級住宅地にある230平方メートルの自宅の他、ハワイに2つコンドミニアムを所有。コナの別荘の価格は8億円~。年間800万円の維持費がかかるというから驚く。あまりに次元が違い過ぎるゴージャスな暮らしぶりは羨ましいを通り越して唖然とするばかり。

 9月に第1弾放送、コシノ三姉妹、先月の第2弾は森泉ファミリー、今回が第3弾。わずか4カ月で3回放送された。この勢いでいずれレギュラー化も!? と思うが、日本にセレブがそれほどいるとは思えない。

 よくよく考えると、その辺の一般人もフォロワーが増えれば、インフルエンサーなどともてはやされ、幅を利かす時代にあって、セレブをありがたがり、持ち上げるのは世の中に逆行しているが、これこそがテレ朝の戦略なのだ。

 今どき、テレビをありがたく見ているのは中高年ぐらいなどとよく言われるが、NHKを含め他局はとっくにテレビ離れした若い世代をもう一度テレビの前に呼び戻そうと悪あがきしているかに見える。

 その結果、中高年が見る番組はおざなりで、若者をターゲットにした番組を量産し、それが裏目に出てことごとく外している。

 唯一の例外がテレ朝だ。他局が切り捨てた中高年層の受け皿として機能している。テレビの世帯視聴率を見ると軒並みテレ朝の番組で、先週などは1位「劇場版公開記念!ドクターX特別編」、4位「ザワつく!金曜日」、8位から15位までも占める。もっとも、テレ朝がアップしたのではなく、テレ朝の番組はダウンしているし、他局がそれ以上に悲惨なのが実態なのだが。

 ただ、個人視聴率やTVerの再生回数など番組の評価指標も増えたが、テレ朝の番組が一定層に支持されているのは間違いない。

 なんといってもテレ朝にはテレビの女神、守護神、化身の黒柳徹子がいる。「プラチナファミリー」も、先月の「徹子の部屋 祝!大谷翔平世界一 徹子さんに教えたい大谷のすごいところSP」もやった。徹子さまさま。

 徹子を人質に中高年向けの番組で視聴率を安定させ、合間にお試しで若者向けをやる。

 少なくとも他局のように魚のいないところに糸を垂らしていない。大門未知子流に「テレ朝は失敗しないので」か。

(桧山珠美/コラムニスト)

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