維新が抱える“出直しのジレンマ”…参院選1人区で「予備選」呼びかけも実施メド立たず
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月17日 9時26分
一本化は待ったなしだが、どうする?(「日本維新の会」の吉村代表、前原共同代表=右)/(C)日刊ゲンダイ
来夏の参院選に向け、改選定数1の「1人区」での野党候補一本化について「予備選」の実施を訴えている日本維新の会。吉村洋文代表(大阪府知事)は立憲民主党や国民民主党に協力を呼びかけるが、予備選実施のメドは立っていない。吉村代表のひとり相撲にも映る。
吉村氏の狙いは、衆院に続いて参院でも与党過半数割れに追い込むこと。全国32の1人区で与党vs野党の一騎打ちに持ち込めば、与党が「3勝29敗」の大惨敗を喫するとの試算もある。一本化は待ったなしだが、問題は候補者の選定プロセスだ。
維新は予備選の制度設計の検討を始め、内部では世論調査を比較して一本化する案が浮上しているという。ただ、維新は2023年の大阪市長選の公認候補を選ぶ際、電話による世論調査で予備選を実施する予定だったが、総務省から公職選挙法に抵触する可能性を指摘されて断念した経緯がある。
予備選の可能性が見通せない上、実施できたとしても、維新にメリットがあるのかどうか。14日の日経新聞(電子版)によれば、先の衆院選で各政党が得た比例票を来夏の参院選の各選挙区に当てはめたところ、維新が予備選で勝てる選挙区は滋賀、奈良、和歌山にとどまったという。
「維新は先の衆院選で前回選から約300万票の比例票を失い、全国政党化は遠のきました。今は政党として出直すタイミングであり、その試金石が来夏の参院選。すべての選挙区に候補者を出して党勢拡大を図るよりも、まず近畿圏で基礎を固めるつもりなのでしょう。いわば原点回帰です。野党一本化を進めれば、維新が絶対に勝たなければいけない選挙区で、他の野党の協力も得られるメリットはあると思います」(ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
参院1人区で勝利したことのない維新にとって、近畿3選挙区を押さえれば「大勝」かもしれないが、立憲も国民民主も予備選に後ろ向き。立憲の野田代表は候補者の一本化には前向きだが、予備選には「ひとつのアイデア」と言うにとどめている。国民民主の玉木代表に至っては13日放送のBSフジ番組で、「どういう形で予備選をやるのか分からないが、我々にはちょっと関係ない話」と素っ気ない。
総スカンの吉村代表が予備選にこだわるのは、一本化するにしても「野合」との批判は避けたいからだ。ジレンマを抱える維新が、非自民の受け皿となる大義を見失わなければいいのだが。
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