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「スローシティ」で広がる新しい街づくり…気仙沼、前橋に続き千葉県香取市でもスタート

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月17日 9時26分

「スローシティ」で広がる新しい街づくり…気仙沼、前橋に続き千葉県香取市でもスタート

東日本大震災で被害を受けた気仙沼=2011年(C)共同通信社

 地域の食や文化、自然環境など特徴ある個性や多様性を重視する「スローシティ」。千葉県香取市は、慶応大学SFC研究所(飯盛義徳所長)と「地域力再発見に関する連携協力協定」を結び、共同でスローシティ運動の取り組みをスタートさせた。

「スローシティ」は、イタリアを発祥とする世界的な運動で、スローフード運動の理念を食からまちづくり全体に広げたもの。

 現在「チッタスロー(スローシティのイタリア語)国際連盟」には33カ国、291都市が加盟。国内ではすでに宮城県気仙沼市、前橋市が会員となり香取市は国内3都市目の加盟を目指す。香取市は千葉県北東部にあり、水郷のまち・佐原市、小見川町、農業の盛んな山田町、栗源町の1市3町が2006年に合併して発足した。

「市は元々、独特の自然環境や食、農業文化や生活スタイルを持つまちです。まだ隠れたまちのお宝の発掘を、学生たちによる外からの目線で再発見につなげていきたい」(香取市シティプロモーション推進室・平山清直次長)

 国際組織に加盟する意味をさらにこう述べる。

「水の文化と農業文化といった異なる個性と多様性を持つ地域住民がそれぞれ尊重し合い郷土愛の醸成を図ることも狙いです。地域の文化、神事、伝統行事が国際的に認められ、内外の人たちが市に興味を持ち来られることを期待しています」

■気仙沼市は13年に国内初の認証

 13年に国内初の認証を受けた気仙沼市は、地域固有の郷土料理、食文化を大切に食を中心としたまちづくりに取り組み、03年に全国初となる「気仙沼スローフード都市宣言」を行っている。

「スローシティはスローフードの考えを食からまち全体へとステップアップさせたものです。気仙沼は世界の人たちに(東日本大)震災の被災地として知られていますが、国際組織の会員として独自の食文化や自然環境の魅力を世界に発信することで新たに市を来訪するきっかけになっています。加盟している世界の複数の都市の方々との連携も持続可能な次世代に向けたコミュニティーの発展につながっています」(気仙沼市震災復興・企画課)

 昨年10月にはスローシティ普及の全国組織「スローなまちづくり全国推進委員会」が設立された。だが、スローシティの知名度はまだ低く、目的も分かりづらいとする声がある。地方自治に詳しい神戸国際大学の中村智彦教授がこう述べる。

「人口減、少子化、産業の衰退が進む地方でも隠れた宝物は必ずある。それを探すために実行力のある仲間、共感者を増やすこと。そして地域住民の理解がどこまで浸透しているか、数年ごとの検証が成功の鍵となる」

 スローシティに賛同する自治体が増えることが世界の理解を深めることにつながる。

(ジャーナリスト・木野活明)

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