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アルツハイマー型認知症の治療薬レカネマブ…6カ月使ったらどんな変化が生じたか?【第一人者が教える 認知症のすべて】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月17日 9時26分

 ARIAでは重症例2例、中等度1例、軽度2例。このうち点滴中止が3例ありました。

 点滴中止で様子を見た3例の患者さんは、いずれも4カ月後のMRIで画像異常がほぼ消失されていることが確認されました。

 そのうちの1人、70代後半の女性では、レカネマブの点滴前、点滴1回目、2回目と問題がなかったのですが、3回目で吐き気、混乱などの症状。近所の脳外科に緊急入院し、MRIを撮ると画像上で脳浮腫が見られました。しかし症状はそのあと消えて通常の状態に戻りました。

 また、80代の患者さんでは、1回目の点滴から2カ月ほど経った頃に困惑・混乱症状が現れ、「お世話になりました」と言って自転車で出かけ、翌日に帰宅されました。MRIで微小出血があり、点滴は中止となりましたが、精神症状が出たのは1回だけ。4カ月後の画像診断ではARIAはほぼ消えていました。

 物忘れの検査も行っています。認知機能を評価するMMSE検査では、一人一人では上がっている人、下がっている人がいて、80%が継続投与が適切という結果。しかし6カ月という短い期間ということもあり、平均値となると、有意差はありませんでした。

 レカネマブは、投与前にアミロイドPETでアミロイドβの量を測定することは必須(保険適用)ですが、それ以降、2回目のアミロイドPETは自費になります。つまり、レカネマブでアミロイドβがどうなっているかは保険適用では調べられません。ただ、他の患者さんになりますが、半年治療後に自費でアミロイドPETを受けたところ、4例全員がアミロイドβ減少となっていました。

 今後もレカネマブの投与でどういう経過をたどるのか、患者さんとともに治療を継続していきたいと考えています。

(新井平伊/順天堂大学医学部名誉教授)

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