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介護で心身をすり減らす前に地域包括支援センターを大いに頼ろう【親を要介護にさせたくない】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月17日 9時26分

介護で心身をすり減らす前に地域包括支援センターを大いに頼ろう【親を要介護にさせたくない】

重要な場面では専門家に頼る

【親を要介護にさせたくない】#24

 親の介護問題がやっかいなのは、親にも子供にも未経験のことが次々に起こる点にある。それはそうだ。誰だって自分がどう老いていくのかはわかっていないし、病気やケガは突発的なことが多い。若い頃なら何でもなかったことが大事に発展するので、本人も周囲もこれからどう対処していけばいいのか、どうすることが正解なのか、手探り状態になってしまうからだ。

 今はネット社会なので知りたい情報を容易に探すことができるとの声もあるだろうが、それが正しい情報なのか判断できなければ意味がない。とくにスマホで無料で閲覧できる情報はありきたりの記事と広告だらけ。探しているうちに疲れてしまうことがよくある。やはり「餅は餅屋」。重要な場面では介護や福祉の専門家に頼ることをお勧めしたい。

 たとえば、親の介護問題全般で疑問や悩みがあるなら、どの市町村(保険者)にも設置されている包括支援センターがよりどころになる。ここには保健師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉士(ソーシャルワーカー)が、それぞれの専門分野を生かし、チームを組んで問題の解決に取り組んでいる。

 中でも社会福祉士は福祉や医療の相談・援助を幅広く担い、初めての介護でわからないこと、不安などを受け止めつつ問題解決のための支援やアドバイスをしてくれる心強い存在だ。

 たとえば「高齢の親が転んで骨折した」と相談すれば、その後に考えられる要介護認定申請を考慮し、「〇〇病院なら申請に必要な意見書を書ける医師がいる」「介護認定前でも利用できるサービス(ショートステイなど)がある」など、的確かつ素早い対応が期待できるだろう。

 また、この社会福祉士という存在は病院の医療相談室などにも在籍し、「医療ソーシャルワーカー」の名称で患者とその家族のサポートを行っている。その内容は入院・通院中に要介護申請の手続きをしたい、回復期リハビリテーション病棟に転院したい、医療費の減免に関する相談など多岐にわたる。

 病院勤務の医療ソーシャルワーカーは周辺病院や介護施設との接点も多いので、退院後の生活不安についても対応してくれる。もちろん、現在入院している病気やケガのことで、主治医や看護師に聞きづらいことを相談することもできる。

 慣れない介護問題に心身をすり減らす前に、このような専門職と上手に付き合い、早めに解決を図るようにしたいものだ。なお、包括支援センターや病院でこうした相談をする時は、その場でも対応してもらえるだろうが、電話予約をすれば事前に相談内容を把握してもらえ、よい解決方法が複数提示されることだろう。

(西内義雄/医療・保健ジャーナリスト)

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