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その不調は更年期障害かもしれません(1)エストロゲンの減少で起こった「指の変形」は元に戻らない

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月17日 9時26分

その不調は更年期障害かもしれません(1)エストロゲンの減少で起こった「指の変形」は元に戻らない

更年期の症状は多岐にわたる

 2022年に厚労省が行った意識調査によると、「更年期障害の可能性がある」と考える女性の割合は、40代で約3割、50代では約4割にのぼると分かっている。イライラや気分の落ち込み、ほてりの症状に悩まされるだけでなく、多岐にわたる。中には意外な症状もある。「野崎ウイメンズクリニック」院長の野崎雅裕氏に聞いた。

「更年期」とは、閉経の前後5年の期間を指し、閉経年齢の平均から、一般的に45~55歳とされている。40歳を境に女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少すると、自律神経が乱れて心身にあらゆる不調を引き起こす。

 更年期と聞くと、自律神経の不調に伴ううつ症状のほか、ほてりや発汗を思い浮かべるだろう。しかし、野崎氏によると、それらの症状はほんの一部に過ぎないという。

「更年期になると、血圧の上昇や骨密度の低下を来しやすい特徴があります。また、エストロゲンには、皮膚の真皮層に存在し、コラーゲンやヒアルロン酸を産生する線維芽細胞を増殖させる働きがあります。エストロゲンの減少で表皮や粘膜のうるおいが失われると、肌のツッパリ感や、粘膜であればドライアイやドライマウスを招きます。とりわけ膣内の乾燥は膣粘膜が薄くなって炎症を引き起こしたり、性交渉の際に強い痛みが生じるケースも少なくありません」

 とくに注意したいのが「指の変形」だ。エストロゲンの急激な減少は、滑膜の働きを低下させて手指の関節に炎症を招きやすい。その状態で手を酷使し続けると手のこわばりだけでなく、手指の第1関節が変形するヘバーデン結節や、第2関節が湾曲するブシャール結節を引き起こす。いずれも関節の背側にコブができるのが特徴で、一度変形すると治療を行っても元に戻らないというから、早期診断が望まれる。

 ところが実際に更年期障害と診断を受けている女性は40代で3.6%、50代の9.1%にとどまり、不調があるにもかかわらず、受診をためらう人が少なくない。

「患者さんの中には、これらの不調がエストロゲンの減少による症状と結びつかなかったり、ご自身でネットで調べるうちに、更年期だとうすうす気付いても『一時的な疲れだろう』『年のせいだから仕方がない』と、受診を後回しにしている方が多い。中には、更年期障害を認めたくない方も一定数います。やがて心身の不調をコントロールできなくなれば、ご自身だけでなく、人間関係の悪化に発展する恐れもあります」

 先述した通り、更年期の症状は多岐にわたる。

 次回は、思わぬ不調から、更年期障害と診断された女性のケースを紹介する。

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