「103万円の壁」引き上げ交渉決裂の案の定…自民は「公党間の約束でも平気で反故にする」嘘つき集団
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月17日 16時3分
どこが大物?(C)日刊ゲンダイ
案の定の展開となった。
国民民主党が求めている「年収103万円の壁」の引き上げを巡り、17日午前、6度目の会合を開いた自民、公明、国民民主の3党。13日に行われた5度目の協議で、与党側は引き上げ額について「123万円」を提示したものの、国民民主は「話にならない」と反発。同党の古川元久税調会長(59)が「協議打ち切り」と記者団に告げて会議室を退出。10分ほどで協議が終了した。
国民民主が求めている引き上げ額は「178万円」。果たして国民民主の要求通りとなるのか、それとも結局、ご破算になるのか。差額55万円を埋めるまでの道のりは長い。
もっとも、自民党といえば昨年末も、ガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」の発動(凍結解除)をチラつかせて国民民主党と手を組みながら、補正予算案が通過した後は何だかんだと理由を付けてトリガー条項発動に難色を示し、協議は雲散霧消となった。
「第2の議員歳費」と呼ばれる月額100万円支給の調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)でも今春、日本の維新の会と「使途公開と残金返納を義務付ける立法措置を講ずる」とした合意文書を党首会談で交わしながら、維新が自民提出の政治資金規正法改正案の衆院採決で賛成に回った途端、スルーした“前科”を持つ。
今回も2024年度補正予算案が17日の参院本会議で成立する見通しとなったため、自公は強気になったのだろう。「したたか」と言えば何となく賢い、策略家のようなイメージだが、その本質は「公党間の約束でも平気で反故にする嘘つき政治家集団」に過ぎない。繰り返されるその姿を見た国民もいよいよ、この狡猾集団の実体に気づくのでは。
不思議なのは、新聞やテレビが自公のこうした無責任な姿勢を批判的に報じないことだ。
とりわけ自民の交渉役となっている宮沢洋一党税制調査会会長(74)については、「東大法学部を卒業し、ハーバード大学行政学大学院を修了したインテリ」「宮沢喜一元首相の甥」などと紹介しつつ、「ラスボス」などと大物感たっぷりに伝えているが、2014年に資金管理団体「宮沢会」が広島市内のSMバーに政治活動費を支出していたことが報じられた人物。
2010年分の政治資金収支報告書で、下着姿の女性をロープで縛り、客もSMショーに参加する形式だったバーに1万8230円を支払っていたことが発覚、大騒ぎになった。当時、「店には行っていない」として自身の関与を否定した宮沢氏だが、国民民主にすり寄りつつ、突き放すのはある種の「じらしプレー」なのかと勘繰りたくなる。
◇ ◇ ◇
「年収103万円の壁」の引き上げは今後、どうなるのか。●関連記事【もっと読む】で《自民政調会長の「年収103万円の壁」めぐる「根本おかしい」発言に怒りの声が続出する必然》【さらに読む】で《「年収106万円の壁」撤廃で年間9.6万円の負担増に…働き控え解消の先に待つのは「雇い控え」》を取り上げている。
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