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窪田正孝「宙わたる教室」は2024年後半の収穫と言える一本!(碓井広義/メディア文化評論家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月18日 9時26分

窪田正孝「宙わたる教室」は2024年後半の収穫と言える一本!(碓井広義/メディア文化評論家)

窪田正孝(C)日刊ゲンダイ

【碓井広義 テレビ 見るべきものは!!】

 先週、ドラマ10「宙わたる教室」(NHK)が完結した。

 舞台は新宿にある夜間定時制高校。年齢も経歴もさまざまな生徒たちが学んでいる。そこに赴任してきたのが理科教師の藤竹(窪田正孝)だ。

 藤竹は部活としての「科学部」の立ち上げを呼びかける。参加したのは読み書きが苦手な岳人(小林虎之介)、40代女性のアンジェラ(ガウ)、保健室登校の佳純(伊東蒼)。そして、中卒で集団就職した70代の長嶺(イッセー尾形)だ。

 物語のタテ軸は、火星の重力下でクレーターを再現する実験。ヨコ軸はそれぞれに抱える葛藤と向き合う生徒たちだ。実験の試行錯誤と並行して、岳人と不良仲間の関係や、長嶺の自分に対する怒りなどが描かれていく。

 藤竹は一方的に指導したりしない。学びながら自分を変えていこうとする彼らを見つめ続ける。教室は彼らが自分自身で「あきらめていたものを取り戻す場所」だからだ。

 また思うようにいかない実験も、失敗などあり得ない。なぜなら、「誰もやったことがないこと」を試みているからだ。

 大団円は学会での発表だった。岳人は「1年前には想像できなかった場所に立っている」と目を輝かせ、藤竹は「どんな人間にも必ず可能性はあります」と断言する。

 原作は伊与原新の同名小説。脚本は澤井香織。今年後半の収穫と言える一本になった。

(碓井広義/メディア文化評論家)

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