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その不調は更年期障害かもしれません(2)閉所恐怖症を訴える患者は少なくない

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月18日 9時26分

その不調は更年期障害かもしれません(2)閉所恐怖症を訴える患者は少なくない

思わぬ症状から診断されるケースも

 40歳を過ぎたあたりから、さまざまな不調に悩まされる「更年期障害」。閉経を境に急激に女性ホルモンが減少し、自律神経が乱れて起こる病気だ。中には思わぬ症状から更年期障害と診断されるケースも少なくない。

 都内在住の50歳女性は、45歳ごろに、突然、顔から汗が噴き出す症状に見舞われた。猛烈な発汗に驚いたものの気にせずに過ごしていると、2カ月程度で症状は自然となくなった。それからは何事もなく過ごしていたが、今年1月、家族と訪れたお好み焼き店で壁側(鉄板を挟んで奥側)の席に座ったところ、突然、「外に出られない」「閉じ込められた」という恐怖感に襲われ、思わず店を飛び出した。

 別の日、子供たちとテーマパークで大スクリーンに映された映像に合わせて椅子が動くアトラクションを体験することに。座席数の多さから一度に数十人を収容できるが、人いきれで息苦しさを感じてパニックを起こし、「外に出してください!」と叫んでスタッフに救護された。

 6月からは、モワッとした生ぬるい外気に触れるだけで息切れを起こして立っていられなくなり、やがて自宅に引きこもるように。見かねた夫から「ただ事ではない」と心配され、近所の婦人科を受診。医師から受けた診断名は「自律神経失調症」だった。

 ところが抗不安薬での治療を開始したものの症状は一向に改善せず、受診した別のクリニックで更年期障害と診断された。

 これまで40年間にわたって女性医学に携わる、野崎ウイメンズクリニック院長の野崎雅裕氏はこう話す。

「女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少は、自律神経を乱して精神面にも大きな影響を与えます。中でも『不安』の感情は、ときには『恐怖』となり、やがて『恐怖症』にもつながりかねない。更年期障害の方の中でも『閉所恐怖症』を訴える割合は多く、当院では更年期障害の方の約5%に見られる、決してまれではない症状なのです」

 しかし、婦人科と一口に言っても、妊娠や出産の管理を行う産科、子宮や卵巣のがんを診療する婦人科腫瘍内科のほか、生殖医療(不妊治療)に特化したクリニックや、更年期障害や月経困難症といった女性医学を扱う分野に分けられている。更年期障害が専門領域でない医師の場合、「閉所恐怖症=エストロゲンの減少」と結びつけるのが難しく、診断の遅れにつながるリスクが高い。

「医師にご自身の年齢と症状を伝えても、『婦人科の領域ではない』と、心療内科を紹介されたという患者さんは少なくありません。更年期障害の症状は多岐にわたります。40歳を過ぎて急に不調が増えたなら、ご自身でも更年期障害の疑いを持つことが大切です」

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