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【メジャー2024「データ野球」の内幕】ヤンキースの致命傷は当たり前のことを選手に落とし込むコミュニケーターの不在

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月18日 9時26分

【メジャー2024「データ野球」の内幕】ヤンキースの致命傷は当たり前のことを選手に落とし込むコミュニケーターの不在

ヤンキースのキャッシュマンGM(右)とブーン監督(C)ロイター/USA TODAY Sports

【メジャー2024「データ野球」の内幕】#2

 ホームランを打つためにどうスイングしたらいいか、三振を取るためにはどのような球を、どこに投げ込めばいいかはデータが教えてくれる。

 そう、データとは教えるものだ。

 もちろん今ではその程度の分析はどのチームも行っていることで、何ら戦略的優位性につながるものではない。

 しかし、データには表れないこと──打ったら全力疾走する、正しく送球する、必ずベースカバーに入る、このようなことをデータは教えてはくれない。

 では、データが教えてくれない、正しい野球をするというチームカルチャーはどのようにして生まれるのか?

 ワールドシリーズでミスをきっかけに崩れたヤンキースに、そのようなカルチャーがないと言っているのではない。

 ただ、負けたら終わりの、しかもワールドシリーズという最高の舞台で敗戦に直結してしまうような基本的なミスを犯してしまうということは、そのようなカルチャーがしっかりと熟成、根付いていなかったのではないかと疑わざるを得ない。

 当たり前のことだが、それはオーナーを含めたチームの編成責任者、育成の責任者、データ分析の責任者、監督、コーチ、そして選手の、チームが一丸となることによって出来上がる。

 チームとしての最終目標は勝つこと。その価値をチーム全員が共有することによって生まれるものだからだ。

 その過程において重要なのは各担当者間の密なるコミュニケーションである。現代のデータ分析隆盛の野球においては、あれもこれもと何かと頭でっかちになりがち。素晴らしいデータ分析を選手がしっかり理解し、自分のものとするために最も求められるのはコミュニケーション能力だ。

 ここ数年、そのようなスキルを求められ、メジャーで選手経験がないにもかかわらず、監督に就任するケースが多い。コーチもしかりだ。

 現在はあらゆるプレーが分析され、数値化、データ化される。データが量的、質的に飽和状態となった今、選手はそれらの情報を教えられ、教えられたようにプレーする(もちろん、教えられた通りにプレーできるかどうかはその選手の才能に負うところが大きいが)。裏を返せば教えられたようにしかプレーできない、それこそ2019年に引退したイチローが当時の会見で、「現在の野球は頭を使わなくてもできてしまうものになりつつある」と言った、まさにそのような野球になっているのかもしれない。

 その意味で単に野球を正しくプレーしただけのドジャースが、それができなかったヤンキースを下したことはとても興味深い事実である。

 ヤンキースの周辺にはキャッシュマンGM、ブーン監督では勝てない、といった批判がくすぶっている。チーム編成の方法、それぞれの能力うんぬん以前に、ヤンキースには当たり前のことを選手たちに落とし込めるコミュニケーターが不在だったのではないか。 =つづく

(米紙コラムニスト=ビリー・デービス)

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