【メジャー2024「データ野球」の内幕】ドジャースの「ウイニングカルチャー」はGMが現場に落とし込んでいる
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月19日 9時26分
ドジャースのフリードマン編成本部長(左)とゴームズGM(C)ロイター/USA TODAY Sports
【メジャー2024「データ野球」の内幕】#3
ワールドシリーズに敗れたヤンキースに当たり前のことを選手に落とし込めるコミュニケーターがいないなら、勝ったドジャースにはいたのか。
ドジャースの編成責任者はアンドリュー・フリードマンである。大谷がドジャースとの契約にフリードマン編成本部長がチームを去ることになったら、自分の契約も破棄できるという項目を入れたくらいだ。彼の頭脳がいかにドジャースにとって欠かせないものであるかは自明である。
その頭脳にはスカウト能力、育成能力、データ分析能力、そして日々のゲームでの戦略、プレーの仕方、戦い方、全てが含まれ、それらが選手個々に伝えられ理解されることによって「ウイニングカルチャー」としてチームに浸透してゆく。
この「ウイニングカルチャー」こそ、彼がドジャースに来た2015年以降、10年連続のプレーオフ進出を可能にした。
「ウイニングカルチャー」を選手たちに継続して落とし込むコミュニケーターとして大きな役割を果たしているのはGMのブランドン・ゴームズだろう。
ゴームズは2011年から2015年まで、リリーフ投手としてタンパベイ・レイズでプレーした(当時のレイズの編成本部長はドジャースに転身する前のフリードマン)。その後はドジャースで主に選手育成畑を歩み、2022年にGMに就任している。レイズ、ドジャースとフリードマンのもとでキャリアを積み、お互い気心の知れた関係だ。
元選手だけに監督、コーチ、選手といった現場とのコミュニケーション能力にも秀でている。フロントと現場をつなぐ橋渡し的な役割を担う人材としては最適だ。フリードマンが彼をGMに起用したのは、まさにこのような役割を期待してのことに違いない(ゴームズの前、2019年から3年間、ドジャースには専任としてのGMは不在だった)。
こうしたフロントと現場のコミュニケーションによる風通しの良さこそが、「ウイニングカルチャー」を生み出すのであり、ヤンキースとのワールドシリーズで見られた、隙あらば次の塁を貪欲に狙う姿勢、正しい守備、送球、全力走塁など、チームが勝つためにすべき当たり前のプレーを当たり前にこなす、といった姿勢に表れる。
ただでさえ大谷、ベッツ、フリーマンのMVPトリオ、さらにカーショーらの大投手を擁するのがドジャース。一流の選手が一流のデータを与えられれば活躍するのは当たり前、そして一流の選手が正しいプレーをすれば勝つのは当たり前だ。ケガなどで誰かが欠けたとしても、このカルチャーはしっかりと代わりの選手に引き継がれる。コミュニケーションも一流なのだ。
シーズン途中ドジャースに加入したトミー・エドマンがシームレス(継ぎ目のない)にチームに溶け込み、後半戦とプレーオフで活躍したのもチームのコミュニケーション能力による部分が大きいはずだ。 =つづく
(米紙コラムニスト=ビリー・デービス)
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