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長寿研究のいまを知る(14)老化は「44歳」と「60歳」で加速する

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月19日 9時26分

「データ駆動型研究では、まず大量のデータを収集し、それを解析して科学的知見を導き出す方法をとります。これを可能にしたのは、AI技術や最新のシークエンサー、質量分析装置などの測定技術の向上です。たとえば、ゲノム(すべての遺伝情報)、エピゲノム(遺伝子発現に関わる要素)、トランスクリプトーム(すべての転写産物)、プロテオーム(すべてのタンパク質)、メタボローム(細胞内代謝物質の総体)といった各種オミクスの進展により、生命情報が網羅的かつ高解像度で取得できるようになり、複雑な生命現象の解明が進展しています。すでに糖尿病、がん、生活習慣病と腸内細菌叢の関係の解明にはこのデータ駆動型研究が用いられていますが、老化の研究でもこのアプローチが不可欠となっています」

 また、肥満や糖尿病などの代謝疾患は急増していて、その背景には食事や運動、遺伝など多様な要因が複雑に関係していることがわかっている。こうした病気も、肝臓や筋肉、脂肪組織といった多くの臓器の相互作用によって影響されており、複雑なネットワークで制御されている。多くの因子を同時に分析するマルチオミクス解析が有用であるのは間違いない。

 がんについても、腫瘍形成に伴って新生血管や血流不全が起こり、低酸素や栄養不足、低pHといったがん微小環境が形成される。この結果、転移や浸潤、治療抵抗性の増大といった現象が起こるが、その背後にはエピゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームといったさまざまな分子レベルでの変動がある。こうした多層的な分子変動の解析によって、がんの進行や治療の改善が期待される。

 老化研究においても、国立長寿医療研究センターでこの手法が活用され、老化と疾患に関連するバイオマーカーの研究が行われている。マルチオミクス解析により、老化研究も新たな段階に入りつつある。(つづく)

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