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編成責任者やGMに「頭のキレる元選手」がトレンド…フロントと現場とのコミュニケーション役にうってつけ【メジャー2024「データ野球」の内幕】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月20日 9時26分

編成責任者やGMに「頭のキレる元選手」がトレンド…フロントと現場とのコミュニケーション役にうってつけ【メジャー2024「データ野球」の内幕】

ジャイアンツの編成本部長に就任したバスター・ポージー(C)ロイター/USA TODAY Sports

【メジャー2024「データ野球」の内幕】#4

 今シーズン終了後、ジャイアンツは編成本部長であるファーハン・ザイディが来年はチームに戻らないと発表した。事実上の解雇である。

 代わりに就任したのはバスター・ポージー。ジャイアンツ一筋で12年間プレー。3度のワールドチャンピオンに7度のオールスター選出、2012年にはナショナル・リーグのMVPにも輝いているジャイアンツのレジェンドだ。

 ここ数年、元メジャー選手であった人材が編成本部長やGMに就任するケースが増えている。データ分析、スカウティング、選手育成などにたけながら選手としての経験のないフロントが多い中で、明らかにトレンドが変わりつつあるようだ。

 20年にGMに就任し、昨シーズンはレンジャーズをワールドチャンピオンに導いたクリス・ヤングGMや、23年オフにレッドソックスの編成本部長に就任したクレイグ・ブレスローもしかり。彼らが編成責任者に抜擢された理由は、前体制におけるコミュニケーターとしての能力の欠如によるものではないかと推測されるのだ。

 フロントと現場とのコミュニケーション不足。どちらかがどちらかに不満や不信感を抱いている結果としてチームがうまく機能せず成績不振に陥る。そのパターンは前出の3チームに共通しているようだ。

 元選手という経歴を生かして現場の人間とのコミュニケーションを円滑に行い、チームに「ウイニングカルチャー」を植え付けてゆく。選手時代、現場で「ウイニングカルチャー」を体験しているからこそ、現場に落とし込むことができる。選手をはじめ現場の人間も彼らの言うことに耳を傾ける。要は分かりやすいのだろう。

 20年、フィリーズはデーブ・ドンブロウスキーを編成本部長に任命した。するとドンブロウスキーは、レイズやカブスでプレーしたサム・フルドをGMに任命した。理由は元選手の方が現場の考えをより理解しているので選手ともより緊密にコミュニケーションを取ることができるから、というものだった。今後もこのようなトレンドは続き、頭でっかちだけでないフロントが生まれるのだろうか。ヤンキースにもジーターのようなレジェンド級の元選手がフロントに加わる必要があるのではないかと思う。もっとも、今の体制で彼らが引き受ける可能性はゼロだとは思うが……。

 言うまでもなく、元選手というだけでの任命ではない。それなりの頭脳が備わっていることが大前提になる。ちなみにポージーはフロリダ州立大学、ヤングはプリンストン大学、ブレスローはエール大学、フルドはスタンフォード大学と、みな有名大学の出身である。論理的で頭でっかちなだけのフロントではなく、自身のプレー体験をもとに選手とコミュニケーションを図ることのできる人材が今後は増えてゆくのではないだろうか。      =つづく

(米紙コラムニスト=ビリー・デービス)

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