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巨人元オーナー渡辺恒雄氏が死去…記者が見た強烈威光 その瞬間、読売関係者が道路の真ん中で大の字に

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月20日 11時32分

巨人元オーナー渡辺恒雄氏が死去…記者が見た強烈威光 その瞬間、読売関係者が道路の真ん中で大の字に

読売新聞グループ本社代表取締役主幹の渡辺恒雄氏(C)日刊ゲンダイ

 読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄氏が19日午前2時、都内の病院で死去した。98歳。政治記者として培った幅広い人脈で政財界に強い影響力を保持し、巨人のオーナーとしてプロ野球界、スポーツ界にも強力な発言力を誇った。

 30年以上も巨大メディアグループのトップに君臨し、袂を分かった巨人元球団代表の清武英利氏によれば、「最後の独裁者」を自称。読売内における、その強烈な威光をまざまざと見せつけたことがある。

 あれは、近鉄とオリックスの合併が表面化したことに端を発する、球界再編騒動が起きた2004年。当時巨人オーナーだった渡辺氏は10球団による1リーグ制への移行を主導し、12球団維持を希望する選手会と激しく対立した。有名な「たかが選手が」の発言が飛び出すなど、球界再編のキーマンとして、メディアは連日、渡辺オーナーの動静を追った。

 東京・大手町の読売本社ビルからナンバー「1000」の専用車に乗って出てくる渡辺オーナーを待ち受け、新聞・テレビ各社がハイヤーやタクシー、バイクで追跡。カーチェイスを繰り広げるのが日常だったが、その最中のことである。

 専用車が駐車場から出てきた直後、ひとりの読売関係者が車道に飛び出し、道路の真ん中で大の字に寝転んだのだ。

「これから、家に帰って『ごくせん』を見るんだ」

「会社のトップを執拗な取材から守るため、身を挺して追跡する車を止める。そこまでやるか、と戦慄を覚えた」

 とは、行く手を阻まれた民放テレビ局関係者の回想だが、

「別の読売関係者が、待機する我々のバイクの鍵を次々に抜き取って、反対側の街路樹に投げ込むなんてこともありましたね。それだけ、畏怖されていたのでしょう」

 ドラフトを「独禁法違反だ!!」と言い、新リーグ構想をぶち上げた末に、力づくでFA制度や逆指名制度を導入。三顧の礼で迎えたはずの清原和博が不振に陥れば、故障で離脱すると聞いて、「これで勝つ要因が増えた。邪魔をしなければいい」と言い放つ。KKの片割れ、桑田真澄がメジャー挑戦の動きを見せれば、「俺が肩代わりしている17億の借金はどうなるんだ」と暴露する。巨人を利するためだけとしか思えない強引な手法、歯に衣を着せないにもほどがある発言は、野球ファンの神経を逆なですることも多かったが、記者はまた別だった。

 行きつけの和食店での宴席のあとにつかまえれば、「君らも大変だな」とご機嫌でリップサービスもする。担当記者はネタに困れば、渡辺氏を追いかけた。「君らと話をしている時間はない。これから、家に帰って『ごくせん』を見るんだ。仲間由紀恵はいいね。勧善懲悪、胸がすくんだ」。

 “独裁者”には、そんな一面もあった。

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