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日銀が「異次元緩和」を総括…12年に及んだ“壮大な社会実験”はやはり失敗だったのか?

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月20日 15時3分

日銀が「異次元緩和」を総括…12年に及んだ“壮大な社会実験”はやはり失敗だったのか?

ツケは大きい…(C)共同通信社

 日銀は19日、1990年代後半から25年間にわたる金融緩和政策の効果と副作用をまとめた検証結果「多角的レビュー」を公表した。

 注目されたのは2012年12月に発足した第二次安倍政権が始めた経済政策「アベノミクス」の名のもと、黒田東彦前総裁(80)が13年4月に導入した量的・質的金融緩和(異次元緩和)に対する評価だ。

 異次元緩和とは「2年程度で消費者物価2%目標を実現」「マネタリーベース及び長期国債・ETF(上場投資信託)の保有額を2年間で2倍に拡大」「長期国債買い入れの平均残存期間を2倍以上に延長」など、従前の政策とは量・質ともに次元の違う金融政策として、故・安倍元首相と黒田総裁による“アベクロコンビ”が旗振り役を担った。

 市場にお金をどんどん流せば、企業が設備投資などに活用し、雇用は増え、従業員の賃金もアップする。大企業から中小企業にお金が滴り落ちるような「トリクルダウン」が起きて国民皆がハッピーになる。

 大雑把に言えばそういった話だったわけだが、14年10月から国債購入額を毎月10兆円に増やす追加策を実施し、16年1月からはマイナス金利策という「禁じ手」まで導入したものの、結果を見れば「トリクルダウン」は全く起きず、市場にあふれたカネは大企業の内部留保と不動産、株式市場に流れたと言っていい。

■大規模かつ長期間にわたって継続する場合には副作用をもたらしうる

 安倍氏は自信たっぷりに「経済の好循環を全国津々浦々に…」などと言っていたが、好循環どころか、実質賃金は減り続け、欧米との金利差によって円安が進行。異次元緩和が今の物価高、資源高につながる一因になった面は否めない。

 導入から約12年。長期間に渡る壮大な社会実験ともいうべき政策だったわけだが、公表された検証結果によると、異次元緩和などの「非伝統的な政策手段」の効果については、「短期金利の操作による伝統的な政策手段に比べ不確実だ」と分析。さらに「大規模かつ長期間にわたって継続する場合には副作用をもたらしうる」とし、今後、採用を検討する際は「副作用を抑制しながら制度を設計していく必要がある」と指摘している。

「経済にプラスの影響をもたらした」「わが国経済がデフレではない状態となることに貢献した」と評価する面もあるものの、成否を端的に言えば「失敗」だったということではないのか。SNS上でもこんな投稿が見られる。

《2年2%が達成できなかった時点で軌道修正するべきだった。ズルズルと続けた結果が今の日本経済の状況》

《ようやく異次元緩和の失敗を認めたわけね。失われた12年だよ》

 植田和男総裁(73)はすでにマイナス金利政策などを撤廃。短期金利を操作する「普通の金融政策」(植田氏)に戻しつつあるものの、残されたツケは大きい。

  ◇  ◇  ◇

 安倍元首相のアベノミクスとは結局、何だったのか。●関連記事【もっと読む】で『企業調査で分かった異次元緩和の“汚点” ジャブジャブ融資はやはり有効活用されていなかった』【さらに読む】で『2024年は「異次元緩和」終焉の年に…相場は波乱含み、金利上昇なら株価下落も』を取り上げている。

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