箱根駅伝を無理に「世界」や「マラソン」と結びつけて感動を煽るヤボはいらない。駅伝は駅伝なのだ【スポーツ時々放談】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月21日 9時26分
2024年、今年の箱根駅伝は青学大が優勝(C)共同通信社
【スポーツ時々放談】
中学生の孫に箱根駅伝ファンがいる。
女の子で各校の内情を細かく知っている。卒業生に興味はないただの駅伝好きだ。2度目の万博を迎える大阪で、学生と実業団の精鋭による「エキスポ駅伝」が開かれるという。前回からのタスキ? 要は駅伝は耳目を集めるのだ。よほど日本人の肌に合うようで、びわ湖毎日、福岡国際など老舗マラソンが幕を下ろしても、駅伝はますます盛況である。
最初の駅伝、大正6年の「東京奠都記念東海道駅伝徒歩競走」をヒントに金栗四三は箱根駅伝を立案した。ストックホルム五輪の雪辱を期す選手発掘の手段で、当時、マラソン=42.195キロは確定しておらず、大人数による普及強化──対抗戦、団体戦で分かりやすいから、戦後も織田幹雄が「年に何百回もやる県がある」と嘆いたほど全国で駅伝が開かれた。
「箱根から世界へ」「マラソンの登竜門」……主催する読売新聞や日本テレビのキャッチをうのみにしてはいけない。第1回大会の1920年は五輪イヤーで、早稲田の5区・三浦弥平はマラソン選考に備え手を抜き糾弾された。箱根から五輪代表になった選手はまれ、メダルを取った選手は南昇龍以外いない。
マラソンの“お家芸”の第一歩は、田中茂樹の51年のボストン優勝だった。参加者はいまの200分の1の191人で、世界的に知られた大会でもなかったが、この快挙でオリンピック=世界=ボストン=マラソンの図式ができ、戦後日本は沸き立った。そこに駅伝をフラフラッと重ねただけの話である。
この暮れ、何人かの長距離レジェンドに会った。厚底シューズや過剰なテレビのあおりは低年齢層に及び、一様に「マラソンは変わった」と口をそろえた。宗茂さんの話が印象的で、3年前のびわ湖毎日で鈴木健吾が2時間4分56秒の日本記録で優勝した。それだけでなく、最後の伝統大会で40人の日本選手が2時間10分を切った。
「そんな大会は日本以外、世界中のどこにもありません」
世界ランキングにサブテン数などない、メダルもない。しかし、この記録こそ駅伝効果だと宗さんは話した。箱根を無理に世界と結び付けて感動をあおるやぼはいらない。駅伝は駅伝なのだ。青山学院の連覇! などと喧々囂々、ワクワク楽しみ、その先は選手それぞれ。加えて、駅伝で育ったレジェンドたちは元気で長生きだ。適度なランニングが健康にいいと、日本人は知っているのかも知れない。
(武田薫/スポーツライター)
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