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「下痢止め」を目的に使われるクスリはいくつも種類がある【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月21日 9時26分

「下痢止め」を目的に使われるクスリはいくつも種類がある【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

下痢は脱水の原因にも

 おそらく、すべての人が何度も「下痢」を経験しているでしょう。腹痛を伴うこともありますし、頻回にトイレに駆け込まなければならないですし、できれば早く治したい症状です。

 下痢には、便とともに大量の消化液が含まれており、特に高齢者の場合、下痢が長く続いて適切な水分補給ができていないと脱水の原因にもなってしまいます。そんなときに使われるのが、下痢止めのクスリ(止痢剤)です。

 止痢剤には、過剰な腸管の動きを抑えたり、腸内でのガスの刺激を和らげたり、腸管の粘膜を保護したり、過剰な水分を吸着したりといった感じで、さまざまな作用があります。その中から下痢の原因や症状に合わせて止痢剤が選択されます。1種類で済む場合もありますし、違う作用のクスリが組み合わされることもあります。

 止痢剤は比較的即効性があるので、服用の仕方としては「下痢時」といった感じで頓服として処方される場合が多いです。基本的には下痢をしているときに服用するクスリなので、下痢の症状が治まれば服用する必要はありません(医師に一定期間服用するよう指示されている場合はそれに従ってください)。

 下痢は下痢でも、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患と呼ばれる病気が原因の場合は、一般的な下痢とは対処法が異なります。止痢剤が使われることもありますが、ステロイドなどの炎症性腸疾患に対する治療薬が必要となり、こちらは長期間(場合によっては一生)服用し続けなければなりません。

 下痢になる原因の一つに「腸内細菌の乱れ」もあります。よくテレビなどで聞く「“善玉菌”が減って“悪玉菌”が増えた状態」のことです。これを改善するために善玉菌を増やす必要があり、そういった場合には整腸剤が選択されます。

 整腸剤にはビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌がたくさん含まれていますが、止痢剤と違い即効性はないので一定期間服用し続ける必要があります。なお、整腸剤はその名前の通り「腸を整える」クスリなので、下痢をしている場合は下痢を止める効果がありますし、便秘の場合でもそれを改善する効果が期待できます。また、抗菌薬で腸内細菌のバランスが乱れるケースもあるため、その予防として整腸剤が用いられることもあります。

 下痢といっても原因はさまざまです。短期間で改善する場合は良いのですが、ある程度長く続く場合には、病院を受診して適切な止痢剤や整腸剤を処方してもらいましょう。そして、脱水を予防するためにも、しっかり水分と塩分(消化液にはナトリウムがたくさん含まれているため)を補給するようにしてください。

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