1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

乳がん手術後の「乳房再建」で後悔しないために知っておきたいこと

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月24日 9時26分

乳がん手術後の「乳房再建」で後悔しないために知っておきたいこと

乳房再建は術後何年経ってからでも可能(C)iStock

 乳がんで乳房の全摘手術を受けた人に対し、人工乳房による再建が保険適用となったのは2013年。それから10年以上が経つが、乳房再建について「言葉もどんな治療法かも知っていた」という人は16%に過ぎない(乳がん手術後の「アピアランスケア」に関する意識調査)。乳がんは、日本女性がかかる割合がトップのがんであり、罹患率は増加の一途をたどっている。乳房再建についても、男女問わず正しい知識を持っていたい。

「日本の乳房再建実施率は12.5%。いまだに低い実施率にショックを受けています」

 こう言うのは、人工乳房での再建が保険適用となる前から、複数の大学病院とも連携して乳房再建を行ってきた「ブレストサージャリークリニック」(東京・高輪)の岩平佳子院長だ。

 日本の乳房再建率は他国と比較しても非常に低く、例えば米国では40%、韓国では53.4%という実施率だ。低い理由の一つに、乳房再建に熟練した形成外科医が少ないことが挙げられる。

「乳がん手術を行う乳腺外科医には、乳房再建を積極的に提案しない医師もいる。保険適用ということすら知らなかった患者さんもいます。一方で、乳房全摘によるコンプレックスを抱き続けてきた患者さんも多い。私が乳房再建を実施した患者さんの最高齢は91歳。70代で全摘を受けた方で『温泉に入りたい』という思いから再建に至りました。再建に年齢は関係ありません」(岩平院長=以下同)

 人工乳房での再建は、まずエキスパンダー(組織拡張器)を手術した胸の下に入れて皮膚と筋肉をのばす。6カ月以上を目安に、エキスパンダーから人工乳房(インプラント)に入れ替える。

「エキスパンダーは、乳がん全摘時に入れる方法(1次2期再建)と、乳がん全摘後に一定期間を置いて入れる方法(2次2期再建)があります。1次2期再建では、術後もエキスパンダーで胸が膨らんでいるので乳房を失ったショックが少ないというメリットがあり、2次2期再建ではどの医療機関で再建を受けるかじっくり吟味できるというメリットがあります」

■術後何年たってからでも可能

 エキスパンダーは36種類、人工乳房は200種類以上あり、その人に合ったものを選ぶには医師の経験値と患者に寄り添う心・態度が必要。さらにエキスパンダーを適切な位置に入れるには高い技術が必要となる。一連の施術は形成外科医が担当するが、前述の通り形成外科医自体が少なく、乳房再建の専門家となるともっと少ない。再建は受けたものの、左右の乳房の大きさや位置が違う……というトラブルも起こっている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください