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徳光和夫が騎手引退の藤田菜七子を擁護するも、世間の賛同は得られず“老害”扱い(井上トシユキ/ITジャーナリスト)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月25日 9時26分

徳光和夫が騎手引退の藤田菜七子を擁護するも、世間の賛同は得られず“老害”扱い(井上トシユキ/ITジャーナリスト)

徳光和夫(C)日刊ゲンダイ

【2024年 芸能界ネット炎上事件簿】#2

 今年10月、騎手の藤田菜七子がJRAからの処分を受けて引退を表明したことに対し、擁護する発言が炎上したのが徳光和夫(83)。

 競馬通として知られる徳光だけに、一言物申したかったのだろう。担当するラジオ番組で、「競馬をよりクリーンなイメージにした」と藤田の功績を挙げ、「競馬界のイメージが逆に悪くなる」とJRAの対応を批判。引退撤回を呼びかけたのだが、世間の賛同は得られずに叩かれてしまった。

 2023年春、若手騎手複数人が競馬開催期間において禁止されているスマートフォンを使用していたことが発覚、そのなかに藤田も含まれていたのだが、非公開での厳重注意という処分でいったんは終結していた。当時、藤田は「ネットの閲覧だけで外部との通信はしていない」と弁明していたとされるが、24年10月に文春オンラインが当時のLINE履歴を入手して公開。外部の関係者との連絡を何度も行っていたことがバレてしまった。

 八百長につながりかねない「重大な非行」であるとJRAが厳罰に処したことで、競馬ファンのみならずネットも即座に反応。

 公営ギャンブルのプレーヤーが重い規則違反をし、あまつさえ虚偽の申告をして平然としていたことは、公正な競馬施行の根幹に関わる深刻なコンプライアンス違反であり、競馬のイメージをむしろおとしめ信用を毀損する愚行と批判が集中した。

 つまるところ、徳光による擁護は世間の認識に逆行する的外れなものだったのだ。日本のメディアにはかねて「おじいちゃん、おばあちゃん枠」とも呼べるものがあり、歯に衣着せぬ物言いが許容され、年の功からの辛口批評が歓迎される風潮も残る。とはいえ、世間の認識、常識からのズレが大きければ、SNS全盛の令和では、当然のごとくに叩かれて炎上してしまう。

 最近、老化や認知症にまつわる取材を継続しているが、そのなかで頻繁に見聞きすることがある。年を取ると自分の価値観にそぐわない出来事を受け付けなくなり、新しい情報に対して否定的に向き合いやすくなるというのだ。ともすれば、実際の出来事や新しい情報と自分の思いや考えとの矛盾を取り繕おうとしてか、都合の良いストーリーを勝手につくって思い込みで話を進めてしまうことさえあるという。

 その結果、家族や周囲の人たちとの折り合いが悪くなり、孤立してしまう。また、身勝手にキレる老人、暴走老人と認識されて迷惑がられ、避けられることも珍しくない。孤立化は、老化や認知症の進行を早める直接的な原因となるのだ。

 老いてますます盛んは実に結構。だが、周囲の状況を的確に把握して調和を図り、慎重な言動で老害と呼ばれぬよう気をつけることも忘れずに。

(井上トシユキ/ITジャーナリスト)

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