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トラウデン直美「おじさんの詰め合わせ」苦笑発言…男性から集中砲火を浴びてしまった複合要因(井上トシユキ/ITジャーナリスト)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月27日 9時26分

トラウデン直美「おじさんの詰め合わせ」苦笑発言…男性から集中砲火を浴びてしまった複合要因(井上トシユキ/ITジャーナリスト)

トラウデン直美(C)日刊ゲンダイ

【2024年 芸能界ネット炎上事件簿】#4

 自民党総裁選直前、8月21日の報道番組で歴代総裁の画像をあしらった広報ポスターについての感想を求められ、「おじさんの詰め合わせって感じがするんですけど」と苦笑したことをとがめ立てられたトラウデン直美(25)。

「女性なら『おじさん』を無条件にバカにしてよいという風潮が変わるのは時代の必然」(東浩紀)といった論評をはじめ、擁護をはるかに超えて炎上してしまった。

「男がおばさんの詰め合わせと言ったら大問題」などと性差別の視点から非難が集まったのは、いくつもの“前フリ”があったからだろう。たとえば、この頃まだ川口ゆりの「夏場の男性の匂いが苦手すぎる」騒動が収まりきっていなかったこと。しまむらの関連会社が「パパはいつも寝てる」「パパは全然面倒みてくれない」「ママがいい」などとプリントしたベビー服を販売して炎上したのも7月末のことで記憶に新しい。

 さらに年初、麻生太郎自民党副総裁が上川陽子衆院議員を評して「このおばさん、やるねえ」「そんなに美しい方とは言わないけれども」と放言したことに対して激烈な批判が寄せられた。これらは、とりわけ影響したようだ。実際、こうした例を引き合いにしたコメントは多く見られたのだ。

 要するに、やられる一方で我慢してきた男性の「他人のふり見て我がふり直せ」という不満が爆発、意趣返しをしたわけだ。昭和のステレオタイプなパパママ像を押し付けられたり、セクハラ、ルッキズムで汲々とさせられたり、こっちだって楽ばかりはしてないぞと、とうとう魂のゲップがこらえられなくなり、一気に放出してしまったとでも言おうか。

 もちろん、トラウデンに性差別の意図などなく、ポスターの見たままを関西人ぽく、少々面白おかしく表現しただけだっただろうから、それをして男性差別だと荒ぶってゲップを吐くのはまったくの的外れである。無意識のうちに差別感情がある、プロのコメンテーターとしてどうか、といった指摘も散見されたが、これも過剰反応でしかないのは明らかだ。

 SNS上での性差別にまつわる言い争いを眺めていると、昭和の時代ににも「オバタリアン」「亭主元気で留守がいい」と、男女で互いにラップバトルのようにdisり合いをしていたことを思い出す。ただ、最近は「優遇されている」「ごまかしている」という感情が、素朴な損得勘定に還元されているようにしばしば見えて、辟易させられる。

 おじさん構文がキモい、おじ、パパはただの金ヅルと、おじさんとしては心をえぐられることも多い昨今。だが、夫婦円満の秘訣は夫から先に頭を下げること、とも聞いた。ギスギスせず、互いにリスペクトし合い、ストレスのない毎日にしたいものだ。

(井上トシユキ/ITジャーナリスト)

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