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ベアトロフィーの古江彩佳が改めて教えてくれた「柔よく剛を制す」ゴルフの神髄(宮崎紘一)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月27日 9時26分

ベアトロフィーの古江彩佳が改めて教えてくれた「柔よく剛を制す」ゴルフの神髄(宮崎紘一)

古江の今季平均スコアはツアーナンバーワン(C)共同通信社

【世界ゴルフ新潮流】

 古江彩佳(24)が、今季米女子ツアーで日本人初となるベアトロフィーを受賞した。同賞は年間を通じて最も平均スコアの良い選手に贈られるもので、プロゴルファーとしては最高の名誉である。

 彼女の平均スコアは69.99。規定ラウンド数に達した選手の中でただ一人の60台である。

 この記録の何が凄いかというと、古江のドライビングディスタンスだ。その平均は250.41ヤード。同ツアー登録選手162人中134位。153センチと小柄な体もあって、毎試合ハンディを背負っての戦いとなる。

 古江は飛ばないがパーオン率73.97%はツアー7位。パーオンホールの平均パット数1.77は9位。シーズン中のワーストスコアを見ても、シード選手80人中、半数以上が80以上を叩いているのに古江はトップの75。守りが堅いだけではなく、バーディー数335は9位だ。

 ここぞという時に攻めるゴルフは今年のメジャー「エビアン選手権」でも光った。トップタイで迎えた最終日18番(パー5)。池越えの第2打を果敢に攻めて2オンに成功。3メートルのイーグルパットを沈めてメジャー初優勝を達成した。この日だけで1イーグル、6バーディー、2ボギーの「65」。これもアプローチやパットに絶対の自信があるからこその「攻めのゴルフ」だった。

 古江のベアトロフィー受賞を聞いた直後、筆者は千葉県のカレドニアンGCでプレーした。同コースは複雑なアンジュレーションやポットバンカーといったリンクスの思想を受け継ぎ、池と白砂の渚バンカーに象徴されるアメリカンタイプ。点と点をつなぐショットの正確さが要求され、グリーンも超高速が売り物。国内でもトップクラスの戦略性の高いコースだ。

 同伴競技者のひとりに高校時代に名門野球部で鳴らした人物がいた。182センチ、105キロの偉丈夫。ドライバー飛距離は300ヤードを超えることもある。高齢の筆者とは時には100ヤード以上の差があったが、アプローチとパットで何とかしのいだ筆者がスコアで上回るホールがかなりあった。

 ゴルフは、確かなコースマネジメントとディフェンス力があれば飛ばし屋にも負けない。ゴルフにおける「柔よく剛を制す」と言えるのではないか。古江はゴルフの神髄と楽しさを教えてくれた。

(宮崎紘一/ゴルフジャーナリスト)

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