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不妊外来から見える治療の現状(4)年齢の壁…2人目ができない“2人目不妊”

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月27日 9時26分

不妊外来から見える治療の現状(4)年齢の壁…2人目ができない“2人目不妊”

2人目不妊は深刻な問題に…

「そろそろ2人目が欲しいのに、なかなかできない」

 32歳で第1子を出産した女性からこんな悩みを聞いたことがあります。あまり知られてはいませんが、1人子供がいるのに2人目ができない「2人目不妊」(続発性不妊)に悩むカップルは少なくありません。

 2023年に報告された「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、子供が1人しかいない原因として、「(理想としては2人以上)ほしいけれどもできないから」と答えた人が32%もいました。出産の高齢化とともに「2人目不妊」は、ますます切実な問題になってくると思われます。

「続発性不妊の人は、一度妊娠出産を経験しているわけですから、未経験の人に比べると妊娠の可能性は高いといえます。とはいえ、一般に、35歳を過ぎると卵巣機能の低下が進み、卵子の質も低下します。2人目の妊娠を望んで1年間妊娠しないなら、不妊外来の受診をお勧めします。女性の年齢が高いほど、早く受診したほうがいいでしょう」

 こう話すのは、生殖医療専門医の大石元・国立国際医療研究センター産婦人科診療科長です。

 女性の平均初産年齢が31歳(23年厚生労働省調査)と高くなっているため、2人目を出産するのは30代半ば頃になります。治療開始を早めなければならない年齢なのです。

 ところが、一度妊娠出産していることで、自分は大丈夫だと思い込む人が少なくないそうです。冒頭で紹介した女性は自分の体験をこう語ってくれました。

「つくろうと思えばいつでもできると信じ込んでいたが、なかなかできないので30代半ばで治療を始めました。治療すれば簡単にできると思っていたのにそれも甘かった。検査では夫婦とも異常はなかったのに、何度か人工授精してもだめで、さすがに焦りました」

 彼女は37歳でようやく出産にこぎつけましたが、不妊治療には「年齢の壁」があることを痛感したそうです。

「女性は年齢による卵子の質の低下、卵巣機能の低下、子宮筋腫や子宮内膜症などで妊娠しにくい体の状態になっていることがあります。一方、男性側でも1人目の時より、精子の状態や精子を作る能力が悪化していることがあります。大切なのは、夫が治療に積極的に参加することです。夫婦で取り組むことで、妻の安心感も増し、治療に前向きになれると思います」(大石医師)

 精子の状態悪化の一因として、ストレスや疲労があるともいわれています。また、精子の数が1973年からの38年間で半減しているという研究(「Human Reproduction Update」第23巻=2017年)もあり、2人目不妊はこれからますます深刻な問題になっていくのかもしれません。 =おわり

(医療ジャーナリスト・油井香代子)

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