バッテリィズ M-1グランプリ準優勝で令和ロマン以上に脚光浴びるも、伸びしろはまだまだある(本多正識/漫才作家)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月28日 9時26分
「バッテリィズ」の寺家(右)とエース/(提供)よしもと
【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#223
バッテリィズ
◇ ◇ ◇
「M-1グランプリ2024」で、2連覇した令和ロマン以上に今回脚光を浴びているバッテリィズ。私もM-1でテレビ審査員でしたが、1本目の「偉人の名言」には最高点の95点をつけました。
2人は大阪NSC36期生。寺家くんは出席日数が足らずに未卒業のままでしたが、当時のオーディションに合格して卒業扱いとなり、吉本に所属しました。そして草野球チームでエースくんがピッチャー、寺家くんがキャッチャーという文字通りの「バッテリー」を組んでいたところ、お互いのコンビが解散したタイミングで「組んでみようか」という軽い気持ちでコンビを結成。それが花開いていくのですから、縁があった、コンビになるべくしてなったのだと思います。
NSC時代のエースくんは「元気でまっすぐな目をしている子」「素直そうな子」という印象で彼を自在に操ってくれる相方と巡り合えればおもしろい存在になるかもしれないという目で見ていました。一方の寺家くんは、出席日数も少ないので、ほとんど印象がありませんが、現在の冷静沈着で的確なツッコミが勢いのエースくんをより際立たせています。
コンビを組んでここ数年、関西では「注目株」。賞レースにも優勝候補として度々名前が挙がっていましたが、なかなか日の目を見られませんでした。それがM-1では見事に仕上げてきていて、もう一歩のところまで令和ロマンを追い詰めていました。
審査員の誰もが絶賛していたエースくんの「天然ボケ(アホ)に徹した」わかりやすいネタ運びと時にピュアなエースくんの返しに「なるほど」と考えさせられるなど、「誰も不快にさせない楽しい漫才」を見せてくれました。ネタの構成・枠組みは寺家くんが作っていますが、エースくんの誰も思いつかないピュアな返しを生かして、ネタに仕上げているそうで、創作と自然に出てくるリアクションを絶妙に組み立てた構成が見事。エースくんのセリフの後に寺家くんが強いワードで切り返してさらに笑いを増幅させる進化型のネタも考えているでしょうから、伸びしろはまだまだあります。
「アホではアホが演じられない」
藤山寛美先生や坂田利夫師匠が言ってらした金言ですが、エースくんがピュアな感覚を一番にしつつ、勉強を重ねてくれることでより「わかりやすく面白い漫才」を作ってくれることでしょう。
2025年はさらなる飛躍を期待しています。
(本多正識/漫才作家)
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