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「飲むHIV予防薬」が性風俗従事者らに人気【2024年に注目された医療】#2

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月29日 9時26分

「飲むHIV予防薬」が性風俗従事者らに人気【2024年に注目された医療】#2

HIV感染のリスクを8割以上低下させるとされている

【2024年に注目された医療】#2

 性感染症において今年最大の話題は「梅毒」だろう。近年、20代女性を中心に大都会の繁華街だけでなく地方都市へ広がっているのが特徴だ。しかし、同時にHIV感染者とAIDS発症者を合わせた後天性免疫不全症候群の年間新規感染報告件数が増えていることにも注意したい。その確定数は2013年の1590件をピークに2022年には884件まで減少した。しかし、2023年には960件と増加に転じ、今年は昨年を上回るペースで増えている。ちなみに2023年までの累積総数は3万5381件(HIV2万4532件、AIDS1万849件)だ。

 これに危機感を募らせているのが、性風俗産業従事者(CSW)や性行動に積極的な人たち。「性感染症~プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)の著者で性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長の尾上泰彦医師が言う。

「性感染症の実数は報告件数よりはるかに多い。CSWらの人たちはそれを実感しているから警戒するのは当然です。実際、当院ではCSWの人たちを中心に『飲むHIV予防薬』を希望する患者さんが目立って増えています。地方からオンライン診療を希望する人も少なくありません」

 意外に思われるかもしれないが、HIVは他の性感染症に比べて感染力が弱く、HIV感染者と性交渉したとしても必ず感染するわけではない。とはいえ、感染しても自覚症状がないだけに、その後、重大事態を招きかねない。そこでHIVに感染したかもしれないと思ったら、性交渉をして72時間以内にHIV治療薬を28日間1日1回もしくは2回飲む「PEP(ペップ=暴露後予防内服)」と呼ばれる予防策がある。世界保健機関の調査報告ではHIV感染のリスクを8割以上低下させるとされているという。

「もうひとつの方法がPrEP(プレップ=暴露前予防内服)で、当院ではこちらを希望する人が目立ちます。性交渉前にHIV治療薬(2種類の抗HIV薬入りの合剤『ツルバダ』『デシコビ』が使われることが多い)を飲む方法で、2通りあります。デイリーPrEPと呼ばれる、毎日1回1錠を決まった時間に飲む方法。もうひとつはオンデマンドPrEPと呼ばれる、性交渉の24時間前(少なくとも2時間前)に2錠飲み、その後は24時間ごとに1錠づつ飲む方法です。性行為が数日続くときはその間は24時間ごとに1錠づつ飲み、最後の性行為のあと2回服用します。正しく服用すれば性行為によるHIV感染リスクを99%低減させることができるとされていて、WHOもガイドラインを出し、PrEPを推奨しています」

 副作用としては腹痛、頭痛、皮疹などのほか、腎不全や急性腎不全といった腎機能障害が出る場合がある。処方前にはHIV感染の有無を調べるHIV検査などのほか、腎機能検査が必要となる。

 AIDS(エイズ=後天性免疫不全症候群)は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染後、自覚症状のない時期が数年から10年近く経過してから発症する病気。性行為による感染は同性間だけでなく異性間でも起きる。そのため、男女、年齢関係なく幅広い層で発症するし、HIV感染も起こる。夜の生活はとんとご無沙汰という中高年であっても、若いころはさんざん遊んだという人は注意が必要だ。

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