違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた(あの人は今)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月30日 9時26分
塚本堅一さん(C)日刊ゲンダイ
【あの人は今こうしている】
塚本堅一さん
(元NHKアナ/46歳)
◇ ◇ ◇
違法薬物の所持や使用で逮捕される芸能人のニュースはよく聞くが、アナウンサーはあまり聞かない。しかも、NHKの、となると前代未聞だった。2016年に危険ドラッグ“ラッシュ”の製造・所持で逮捕された塚本堅一さん。塚本さん、今どうしているのか。
塚本さんに会ったのは、東京メトロ・水天宮前駅近くにある、NPO法人ASK(アスク)=アルコール薬物問題全国市民協会の事務所。
「2018年に始まったASK認定の依存症予防教育アドバイザーの資格を1期生として取得後、薬物問題の当事者として講演会で話をしたり、飲酒運転防止インストラクターの資格も取ったので、飲酒運転防止に関する啓発動画を制作したり、忙しく過ごしています」
まずはこう言った塚本さん、経験を生かした活動をしているのだ。
「私が手を染めてしまった“ラッシュ”に依存性はなく、私自身は依存症に苦しんだわけではないので、逮捕され罰金刑が確定した後の社会復帰の方が大変でした。NHKをクビになり、住んでいたアパートも出ることになり、3歳年上の姉の部屋に居候させてもらいながら就職活動をしました。でも、面接にすらたどりつけませんでした。当たり前とはいえ、想像以上に厳しかった。一時はうつになり、自暴自棄になって命を絶とうか、とか、薬物に逃げようか、と思ったこともあります。だから、再犯を繰り返す人の気持ちがよくわかる。私は支援者につながれたおかげでそうはならなかったので、薬に依存していく人、再犯を重ねてしまう人を減らすべく尽力したいと思っています」
「ダメ。ゼッタイ。」というキャッチコピーを掲げる、これまでの薬物問題の啓発とは違ったアプローチの中高生向け書籍を準備中だという。
「私自身がカウンセリングや依存症回復施設の回復プログラム、依存症の自助グループのミーティングに参加することで、回復・復帰できましたから。ただ、1年半もかかりました。もっと早く支援者らにつながれたらよかった。薬物問題などで困難を抱える人は、他人に弱みを見せられず頼れない人が少なくないんです。かつての私もそうでした。何か問題に直面したら我慢しよう、自分ががんばればいい、と考えて生きてきました。でも、ひとりでは限界があることを知りました。かつての私のように、つまずいたままひとりで苦しんでいる人たちに、“理解者、支援者は意外にいるんだよ”と知らせたいと思っています」
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