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体調不良の原因が不眠にあるとは…土井貴仁さん不眠症との闘いを語る

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月30日 9時26分

 東京の代々木にある睡眠クリニックで、まずはこの治療法が自分に合うかどうかをチェックされたのち、2~3週間に1回のペースでカウンセリングを受けることになりました。自分の不眠症は「精神生理性不眠症」と分類されました。睡眠の妨げとなるストレスなどを取り除いても不眠が続くくらい、睡眠を悪化させる思考や習慣が体に染み付いてしまっているタイプだそうです。

 不眠症の認知行動療法は、睡眠を悪化させるたくさんの考え方と行動を減らしていく心理療法です。最初の宿題は、2週間の睡眠の記録をつけることでした。ベッドに入る時間、眠るまでの時間、目覚めた時間やベッドから出た時間、さらに日中の状態や感覚、眠りや日中の満足度など、事細かに毎日記録します。

 カウンセリングでは、睡眠の原理や悪化させる要因を学び、家では3つのことを徹底して実践します。それは、「眠たくなるまでベッドに入らない」「ベッドに入っても眠れなかったらベッドから出る」「睡眠以外(読書やスマホを見るなど)でベッドを使わない」ということ。昼寝はもちろんダメです。要は、眠れないつらい体験とベッドが結び付いているので、その結び付きを弱めて「ベッドに入れば眠れるんだ」という感覚を身につける訓練です。

 ほかにも、朝に太陽を浴びることと食事のリズムで、朝起きて夜眠る習慣をつけることも必要でした。体の緊張をほぐす方法や、うまくいかない悩みや疑問を相談しながら、1カ月くらいで少し効果が出てきた感覚がありました。

 その頃、休職期間が終わりましたが、治りかけだったのでそのまま退職し、治療を続けました。

 代々木の病院への通院は半年ほどで終了し、その後も睡眠の記録を続けていくと、入眠までの時間が次第に減り、25歳の夏には1時間ぐらいで眠れるようになったのです。そこから医師に相談しながら睡眠薬の減薬を始めました。1錠から4分の3錠、2分の1錠、4分の1錠と減らし、飲まない日を少しずつ増やして、1年がかりでやめることができました。

 今では入眠まで基本30分。1時間ほどかかる日もありますが、自分としては大進歩。これまでは不眠症という爆弾を抱えて、何をやるにも不安が付きまとっていましたが、眠れる自信がついたので、今は躊躇なく物事にチャレンジできるようになりました。

 睡眠は大事なことです。子供のうちに睡眠の専門医につながっていたら……と思うので、教師や町医者にも睡眠についての正しい知識を持ってほしいと思っています。

(聞き手=松永詠美子)

▽土井貴仁(どい・たかひと) 1990年、京都府出身。幼少期から寝つきが悪く、中学、高校時代に不登校や中退を経験する。大学卒業後に就職するが長続きせず、24歳から「不眠症の認知行動療法」を受け、26歳でほぼ完治。現在は執筆を中心に活動している。著書に「ぼくは不眠症。」(合同出版)、「ベッドにいてはいけない」(弘文堂)がある。

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