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《最終回》80歳になっても「こんなプレーは教わっていない」と言わせない野球を伝えたい(小倉清一郎/元横浜高校野球部部長)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年12月31日 9時26分

《最終回》80歳になっても「こんなプレーは教わっていない」と言わせない野球を伝えたい(小倉清一郎/元横浜高校野球部部長)

1998年ごろ、高校時代の松坂大輔(左)と筆者(C)日刊ゲンダイ

【松坂、筒香を育てた小倉清一郎 鬼の秘伝書】最終回

「鬼の遺言」の第1回は2011年7月5日付だった。そこから「続」「新」「鬼の視点」を経て、現在は「鬼の秘伝書」に名前を変え、隔週掲載になり、通算13年半。そんな長期にわたって続いてきた連載も、ついに今回で最終回を迎える。

 長い付き合いになったゲンダイの編集者によれば、特別寄稿も含めると、全部で400回弱になるそうだ。私の信念は、選手たちに「こんなプレーは教わっていない!」と言われないようにすることだ。ありとあらゆることを想定し、100試合に1回しか起こらないようなプレーでも教えたい。

 中継やバントシフトといった1点を与えない守備、1点をもぎ取る走塁など、もっと細かいプレーを追求したかったが、グラウンドでは指導できても、文字にするのは難しく、なかなか伝わりにくいというジレンマがあった。私は今年6月に80歳になった。いい潮時である。最後なので、いろいろブチまけて終わりたい。

 大谷翔平一色だった24年の野球界。1000億円の契約で年俸100億円なんて聞いてしまうと、猫も杓子もメジャーへ行きたがるのも当然である。

 その中でも、日本を代表するスラッガーであるヤクルト・村上宗隆と巨人・岡本和真は、メジャー志向があるといわれるが、2人とも厳しいと思う。メジャーに挑戦したものの、活躍できず、今年DeNAに復帰した教え子の筒香嘉智と同じく、大きなバックスイングから飛距離を出すという打法が共通しているからだ。日本より速い球、日本より動く球に対応するためのスイングは「後ろは小さく、前は大きく」である。大谷がまさにそうで、村上も岡本もスイングを根本的に見直さないと、メジャーでは通用しないだろう。

 岡本といえば、これまで何人も教え子を預けてきた巨人に言わせて欲しい。私は昔から長嶋茂雄さんの大ファンで、その関係で巨人を応援してきたが、今オフはFAでソフトバンクから甲斐拓也、さらに中日から絶対的な抑えのライデル・マルティネスを補強。楽天を自由契約となった田中将大まで引き取った。2位に10ゲーム差でもつけるつもりなのか。今に始まったことではないとはいえ、他球団の選手ばかりかき集め、自前の選手を軽視するやり方に、ほとほと愛想が尽きた。

 高校野球に話を戻すと、ここ数年でだいぶルールや規則が変わった。飛ばないバットが導入され、甲子園大会の本塁打数が激減。朝夕の2部制、延長十回からタイブレークになったことで試合時間は短縮された。ただ、今夏の甲子園の決勝戦がタイブレーク決着だったのは味気なかった。以前は十三回からだったが、私は十二回からの導入が最もバランスがいいと思う。酷暑が続き、7回制も議論されている。私は反対だ。野球が野球でなくなっていくのは寂しい。

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